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作家の悩み百選 No.093

業界の決まりごとが、分からない

「業界の決まりごとが分からず、入っていけない」。業界の外から見てきた目線で、作品を届け始める入口を考えます。

明るいギャラリーの入口から見える、白い壁に並んだ作品

こんな戸惑いはありませんか

「業界の決まりごとが分からず、入っていけない」

ギャラリーにどう声をかけるのか。展示の費用は誰が持つのか。値段は誰が決めるのか。誰も教えてくれないまま、時間だけが過ぎていく。

美術の学校を出ていない。団体にも入っていない。知り合いもいない。だから、自分には入る資格がないように感じてしまう。

周りの作家が当たり前のように話す言葉が、自分には分からない。聞き返すのも恥ずかしくて、黙ってうなずいてしまう。

ここで、ひとつ考えてみてください。決まりごとをすべて知らなければ、作品を届けてはいけないのでしょうか。

決まりごとを知ることは大切です。けれど、分からないまま立ち止まって、作品をしまい込むのは惜しいことです。

知らないことは、
作品をしまう理由にならない。

決まりごとは、作品の良し悪しとは別のものです。知らないことがあっても、あなたの作品の力が減るわけではありません。

あなたは、分からないことを、誰かに聞けていますか。

分からないまま待つと、どうなるか

業界の決まりごとで悩む作家が何%いるか。全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

ただ、決まりごとを知らないまま仕事をしている人が多いことは、近い数字から見えてきます。

仕事を受けるフリーランスへの国の調査があります。作家に限った数字ではありません。

2024年11月に始まった、取引を守る法律の内容を「知らない」人は、76.3%でした。

自分を守る決まりでさえ、4人に3人が知らない。紙に書かれていない業界の決まりごとなら、なおさらです。

決まりごとの多くは、紙に書かれているわけではありません。人から人へ、話の中で伝わっていくものです。だから、つながりの無い作家ほど、知る機会が少なくなります。

聞ける相手がいないまま、一人で調べることもあるでしょう。けれど、何が正しいのか分からず、かえって迷いが深くなることもあります。

分からないまま待っていると、作品を見てもらう機会は、目の前を素通りしていきます。

業界の決まりを全部覚えるまで動けないなら、その日は来ないかもしれません。

待つほど、
入口は遠ざかる。

業界の外から来た、わたしの感覚

明るい通りに面したギャラリーの窓越しに、色鮮やかな作品が並んで見える
外から見た、アートの世界の入口(イメージ)

実は、わたし自身がアート業界の外から来た人間です。業界の決まりごとを、今もすべて知っているわけではありません。

50歳を過ぎて初めてアートを買いました。それまで、アートにはそれほど興味がありませんでした。外から見ていて、気づいたことがあります。

これまで作品は、ギャラリーや画商に売ってもらうのが当たり前でした。けれど、その数は限られ、見られる作家の数も限られています。だから、全員は頼れません。

ギャラリーや画商は、敵ではありません。新人の作家を見つけて紹介するなど、一緒にアート業界を盛り上げていける相手だと思っています。

そのうえで、今までの入口とは別に、新しい売り方を一つ増やす。これが、わたしの考えです。

新しい売り方は、最初は「そんな売り方で大丈夫?」と受け入れにくく見えるかもしれません。でも、その売り方でも十分に売れると、わたしは考えています。

これまでは、ギャラリーや画商にお客さんがいたから、作品は高い値段で売れてきました。その形は、これからも大切です。

今の入口を壊さず、
もう一つの道を足す。

答え合わせ:決まりを知らないと、損をするか

この感覚を、数字で確かめようとしました。

けれど、業界の決まりごとを知らないことで、作家がどれくらい損をしているのか。それを調べた全国の調査には、たどり着けませんでした。

「ギャラリーや画商に全員は頼れない」という感覚は、今回は確かめられませんでした。ただ、決まりごとを聞ける相手を、自分から持っておく意味は大きいはずです。

それに、作品を買う人の多くは、業界の内側にいる人ではないはずです。ふだんの暮らしの中で、好きな作品と出会う機会がまだ無い人たちかもしれません。

その人たちに作品を届けるのに、業界の決まりごとを全部知っている必要はありません。必要なのは、作品と出会える場所と、作品を伝える言葉です。

新しい道から作品が届き始めると、分からなかったことも、少しずつ分かっていきます。経験を重ねるうちに、聞くべきことも見えてきます。

たとえば、作品を見た人から問い合わせが届けば、値段の伝え方や渡し方を考えることになります。そうした一つひとつが、生きた学びになります。

業界のことは、歩きながら覚えていけばいいのです。最初から全部を知っている作家は、どこにもいません。

決まりは歩きながら、
少しずつ覚えていく。

7ARTSで、一緒にできること

明るいホテルのロビーの白い壁に飾られた、色鮮やかな作品
業界の外の場所でも、作品は出会える(イメージ)

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSが答えられるのは一部です。業界の決まりごとを、すべて教える場所ではありません。

そのうえで、決まりごとを知らなくても、作品を届け始められる場所があります。

7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品を載せておけば、サイトから購入やオファーが届きます。

オファーは9種類あり、作家が「受けられる」と選んだものだけが届きます。慣れないうちは、自分が受けられるものだけを選んでおけば、無理なく始められます。

値段の付け方に迷ったときは、値段の目安を出す道具も使えます。相場が分からないときの、1つの手がかりになります。

サイトで作品を見てもらいながら、届いた反応から学んでいく。その積み重ねが、業界を知る近道にもなります。

契約の条件や、作品の権利の扱いなど、法律に関わる決まりごとは別です。分からないまま受けずに、弁護士など専門家に相談してください。

分かる所から、
届け始める。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。分からないことを3つ書き出す、調べる物と聞く物に分ける、分かる所から1つ始める
今日、作家がやること

今、業界について分からないことを、3つだけ書き出してみてください。

次に、その3つを「自分で調べられること」と「誰かに聞くこと」に分けます。契約やお金に関わることは、専門家に聞く側に入れてください。

最後に、分からないことがあっても、今日できることを1つ選びます。たとえば、作品を1点、見てもらえる場所に置くことです。

分かる所から動き出せば、分からないことは少しずつ減っていきます。書き出した紙は、しばらくたってから、もう一度見返してみてください。

聞く相手が見つからないときは、展示の会場の担当者に声をかけてみてください。同じように制作を続ける作家も、頼れる相手です。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • フリーランスの取引:公正取引委員会・厚生労働省「フリーランス取引の状況についての実態調査(法施行前の状況調査)結果 概要」(2024年10月)