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作家の悩み百選 No.074

買われないと、否定された気がする

「買われないと、自分を否定された気がする」。作品を買う人の数と買う理由を見て、買われない日の受け止め方を考えます。

明るい展示会場の白い壁に並ぶ色鮮やかな作品を、ひとり眺める人の後ろ姿

こんな気持ちになりませんか

「買われないと、自分を否定された気がする」

展示の会場で、作品の前を人が通り過ぎていく。足を止めても、何も言わずに去っていく人もいる。

最終日、売約の印が1つも付かなかった。作品だけでなく、自分という人間まで、要らないと言われたような気がした。

その悲しさは、作品に本気で向き合ってきた証でもあります。ただ、悲しさのまま理由を決めつけると、次の一歩が重くなります。

ここで、ひとつ考えてみてください。買わなかった人は、本当にあなたを否定したのでしょうか。

その日お金の都合がつかなかった人、部屋に置く場所がなかった人、作品を買ったことが一度もない人。買わない理由は、人の数だけあります。

買われない理由は、
あなたの外にもある。

あなたは、買われなかった理由を、すべて自分のせいにしていませんか。

否定と受け止め続けると、どうなるか

作品が買われなかった理由を、買わなかった人に直接たずねた全国の調査は、見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

会場を通り過ぎた人の中には、作品を買う習慣をまだ持っていない人も、たくさんいるはずです。買われなかったのは、あなたの作品だけではありません。

それでも、買われないことを否定と受け止め続けると、作品を見せること自体が怖くなります。展示を避け、ページにも載せなくなっていきます。

見せなければ、作品と出会う人はさらに減ります。否定される怖さを避けたつもりが、作品が届く道まで閉ざしてしまうのです。

展示の会場は、作家にとって、心をさらけ出す場所です。だからこそ、買われなかった結果を、心ごと否定されたように感じてしまうのです。

否定されたと感じた日のことは、なかなか忘れられません。その記憶が、次の展示の準備まで重くしていきます。

怖さを避けると、
届く道まで閉じてしまう。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい白い壁のギャラリーで、色鮮やかな作品の前を通り過ぎていく人の後ろ姿
通り過ぎる人は、まだ出会っていないだけ(イメージ)

わたしは50歳を過ぎて、初めてアートを買いました。それまでの長い間、作品を一度も買ったことがありませんでした。

アートにそれほど興味はありませんでした。外から見ると、一般の人はアートに出会う機会が少ないのです。作家の友達がいたり、アートの世界にいたりしなければ、触れる機会がありません。

50歳を過ぎるまで出会わなかったのは、もったいない人生だったと、今は思います。

通り過ぎる人を見てつらくなる場面は、作家の方からよく聞きます。けれど、通り過ぎた人が作家を否定したとは限りません。作品の見方も、買い方も、まだ知らないだけかもしれません。

作品と出会っていない人は、今もたくさんいます。あなたの作品の前を通り過ぎた人も、いつか別の場所で、作品と出会う日が来るかもしれません。

足りないのは、アートを見てもらえる環境ではないか。これが、外から見てきたわたしの感覚です。

通り過ぎた人は、
まだ知らないだけ。

数字で答え合わせ:出会う機会が、減っている人がいる

この感覚を、数字で確かめます。文化庁の調査で、文化芸術を見たり活動したりする頻度を聞いています。

2022年と比べて、その頻度が変わったかを聞いたものです。

「減った」と答えた人は16.3%、「増えた」と答えた人は12.1%でした。

飾る場所がある、贈る相手がいる、記念の日がある。買う理由の多くは、買う人の暮らしの事情とつながっています。

増えた人より、減った人のほうが多いのです。「一般の人は、アートに出会う場が少ないだけ」という感覚は、一部当たりです。出会う機会が減っている人がいることは、確かめられました。ただ、買わなかった理由までは、この数字では分かりません。

買う理由が、暮らしの事情にある。それなら、買われない理由も、暮らしの事情にあることが多いと考えられます。

買われるかどうかは、作品の力と、買う人の事情の両方で決まります。自分の側だけを責める必要はありません。

そう分かれば、売約の印が付かなかった日も、作品を否定された日ではなくなります。まだ出会っていない人に向けて、次の見せ方を考える日に変わります。

記念の日や贈り物の相手は、ある日ふいにやってきます。そのとき思い出してもらえるように、作品を見られる場所を残しておくことが大切です。

売約のない日は、
次の見せ方を考える日。

7ARTSで、一緒にできること

明るい病院の待合室の白い壁に飾られた色鮮やかな作品と、明るい木のベンチ
ふだんの場所で、出会いを増やす(イメージ)

先に正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSが答えられるのは一部です。否定された気持ちそのものを軽くする仕組みは、7ARTSにはないからです。

そのうえで、作品と出会う人を増やす場所は、一緒につくれます。

7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品を載せておけば、会期が終わったあとも、誰でも作品を見られます。見た人は、そのまま購入やオファーを申し込めます。

サイトは5か国語で表示できます。日本で制作を続けながら、海外の人にも作品を見てもらえます(解決策2 外国語表示)。

作品を部屋やお店に飾った姿を見せる仕組みもあります(解決策1 飾ってみて)。

ただ、どの作品を、どんな言葉と一緒に見せるかは、作家自身が決めることです。出会う人が増えるほど、作品を選んでくれる人に会える機会も増えていきます。

作品が見られる場所が増えれば、通り過ぎた人とも、別の日に出会い直せます。1回の展示の結果で、作品の行き先が決まるわけではありません。

つらい気持ちが長く続くときは、医療機関や相談窓口など、専門の相談先も頼ってください。

出会う人を増やすことが、
心の支えにもなる。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。足を止めてもらえた作品を1点選ぶ、作家ページにひとこと添えて載せる、見てほしい人にページを届ける
今日、作家がやること

最近の展示で、いちばん長く足を止めてもらえた作品を、1点思い出してみてください。

次に、その作品を作家ページに載せ、どんな場所に飾ってほしいかを、ひとこと添えます。

最後に、その作品を見てほしい人を1人決めて、ページを届けてください。1人に届けるたびに、買われない日は、出会いを増やす日に変わっていきます。

見てもらえた人が増えるほど、作品を気に入ってくれる人に出会える日も近づきます。

買われたかどうかではなく、何人に見てもらえたかを数えてみてください。その数は、あなたが動いた分だけ増えていきます。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 鑑賞の状況:文化庁「文化に関する世論調査」報告書(2024年3月・全国18歳以上24,996人)