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作家の悩み百選 No.067

工芸の値段が、日用品と比べられる

「工芸は日用品の値段で見られ、作品の値段が通らない」。使うために買う人の数を見て、器が作品として選ばれる見せ方を考えます。

明るい工房の木の棚に並ぶ、絵付けを終えた色鮮やかな器

こんな悩みはありませんか

「工芸は日用品の値段で見られ、作品の値段が通らない」

器ひとつに、土を選び、形を整え、何度も窯に入れる。手間をかけた分だけ、きちんと値段を付けたい。

けれど売り場に並べると、「お茶碗にしては高いですね」と言われる。比べられているのは、量販店の器の値段だ。

土を練る時間、絵付けの筆の運び、窯の火を見守る夜。その手間は、器の外からは見えません。

ここで、ひとつ考えてみてください。買う人は、その器を作品として見る入口を、持っているでしょうか。

同じ器でも、日用品の棚に並べば日用品の値段で見られがちです。作品として見せれば、作品の値段で見てもらえる道がひらけます。

比べられる相手は、
並べた場所で変わる。

器の値段の悩みは、作り手の腕の悩みとは限りません。見る人が、どの物差しを手に取ったかの問題でもあります。

あなたの器は、どんな場所に、どんな姿で並んでいますか。

日用品と比べられたままだと、どうなるか

工芸の作品が、どんな物差しで値段を見られているのか。調べた全国の調査は見つかりませんでした。

ただ、器や布の作品は、使うために選ばれることが多い物です。

器を手に取る人は、ふだん使っている器と、つい比べてしまいます。比べる相手が量販店の器なら、作品の値段は高く見えて当然です。

使える作品は、暮らしに入りやすい強みがあります。その一方で、日用品と同じ物差しで比べられやすい弱みも持っています。

「使える物」としてだけ見せていると、値段は使い勝手で比べられます。手間や技術の違いは、説明されなければ見えません。

値段が通らないまま作り続ければ、手間を減らすか、値段を下げるかを迫られます。どちらを選んでも、作品らしさが少しずつ削られていきます。

「高い」と言われるたびに値段を下げていくと、自分でも作品の値打ちが分からなくなっていきます。

使える強みは、
比べられる弱みにもなる。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい木の食卓に置かれた、色鮮やかな絵付けの器と季節の花
暮らしの場面で見ると、器は作品になる(イメージ)

わたしは業界の外から来た人間です。外から見ていて、思うことがあります。

アパレルは、洋服だけを撮った写真では売っていません。モデルが着た姿を見せ、それに憧れて、人は服が欲しくなります。

アート業界は、作品だけを並べて売ることが多いように見えます。それでは伝わらないのではないか。玄関やカフェに置いた姿を見るから、欲しいと思うのです。

工芸の作家の方からも、同じような話をよく聞きます。棚に積まれた器と、季節の花が生けられた器とでは、同じ物でも見え方が違うという話です。

作り手が込めた手間は、器の形や色の中に、確かに残っています。それを見る人に届けるのは、置かれた場面と、添えられた言葉です。

見せ方を工夫し、心を込めて、買う人のことを考えて表現しているか。そこに気づいてほしいと、わたしは考えています。

棚の器と、花を生けた器。
同じでも、違って見える。

数字で答え合わせ:作る人は、100人に3人ほど

この感覚を、数字で確かめます。文化庁の調査で、この1年に文化芸術の活動をしたかを聞いています。

文学・音楽・美術などの作品を「創作した」と答えた人は、2.9%でした。

一般の人には、アートに出会う場が少ないと、わたしは感じています。毎日使う器は、そんな人が初めて迎える作品になり得ます。

「見せ方しだいで、作品として見てもらえる」という感覚は、一部当たりです。作品をつくる人が100人に3人ほどの、特別な存在であることは確かめられました。ただ、見せ方で値段がどう変わるかを測った全国の調査は、見つかりませんでした。

作品として見せられた器は、日用品ではなく、暮らしを彩る1点として選ばれます。値段の理由が伝われば、買う人は納得して手に取ります。

同じ器を、ひとりの人が何年も使い続ける。使うほど手になじみ、ほかの器では代わりにならなくなる。工芸の作品には、絵とは違う形の喜びがあります。

朝の食卓で、あなたの器が使われている。その人は器を手に取るたびに、作り手のことを思い出す。そんな関係が、次の作品へとつながっていきます。

使われるたびに、
作り手が思い出される。

7ARTSで、一緒にできること

明るいカフェの白い壁の棚に、作品として飾られた色鮮やかな器
作品として並べると、器の見え方が変わる(イメージ)

先に正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSが答えられるのは一部です。どの値段を付けるか、どこに卸すかは、作家が決めることだからです。

そのうえで、器や工芸を作品として見せるための道具は、一緒に使えます。

7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品の写真と、土や技法の説明を載せておけば、見た人がそのまま購入やオファーを申し込めます。

作品を部屋やお店に飾った姿を見せる仕組みもあります(解決策1 飾ってみて)。

値段に迷ったときは、値段の目安を出す道具が使えます。作品証明書の仕組みもあり、作品の確かな記録が残ります。

海外にも、手仕事の器を好む人はいます。土や技法の説明は、外国の人にとっての入口にもなります。

作家ページは5か国語で表示できます。日本で作り続けながら、海外の人にも器を見てもらえます(解決策2 外国語表示)。

ただ、どんな場面で使ってほしいのか、どんな言葉を添えるのか。そこは作家にしか書けません。見せ方は、作家と7ARTSで一緒に磨いていきましょう。

作品として見せる工夫は、器の数を減らすことではありません。1点ずつの物語を、見る人に手渡すことです。

値段の理由を、
姿と言葉で伝える。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。使われる場面を1つ決める、その場面で写真を撮る、説明を添えて作家ページに載せる
今日、作家がやること

いちばん自信のある器を1点選び、それが使われている場面を1つ決めてみてください。朝の食卓、来客のお茶、季節の花。

次に、その場面で撮った写真を用意します。棚に並べた写真ではなく、使われている姿の写真です。

最後に、土や技法、作るのにかけた時間を、3行の説明にまとめて添えてください。場面と説明がそろうと、器は日用品の棚から作品の棚へ移ります。

説明には、使い方や手入れのしかたも一言添えてください。長く使える作品だと伝われば、値段の意味も伝わります。

値段の付け方や卸の条件に迷うときは、商工会議所など身近な相談窓口も活用してください。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 鑑賞の状況:文化庁「文化に関する世論調査」報告書(2024年3月・全国18歳以上24,996人)