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作家の悩み百選 No.063

実物を見たい、と言われても行けない

「買う前に実物を見たいと言われても、見せに行けない」。買う人が確かめたいことを数字で見て、会いに行けなくても伝わる形を考えます。

明るいアトリエで、描き上げた作品の横に定規を当てる作家の手元

こんな場面はありませんか

「買う前に実物を見たいと言われても、見せに行けない」

サイトやSNSで作品を見た人から、うれしい連絡が届く。「実物を見てから決めたいのですが」。

ところが、相手は遠い町に住んでいる。作品を抱えて会いに行く時間も、交通費も、すぐには用意できない。

どう返せばいいのか迷ううちに、話はいつの間にか立ち消えになってしまう。

ここで、ひとつ考えてみてください。相手が本当に確かめたいのは、作品のどこでしょうか。

色の深さか、大きさか、表面の手ざわりか。それとも、自分の部屋に置いたときの姿でしょうか。

見たいのは作品か、
飾った姿か。

確かめたい所が分かれば、会いに行けなくても、伝え方は工夫できます。

あなたは、相手が何を確かめたいのか、聞いたことがありますか。

見せに行けないままだと、どうなるか

遠くの人は、ふだんどうやって物を選んでいるのでしょうか。まず、そこから見てみます。

経済産業省の調査で、物の売り買い全体のうち、ネットで買われた割合は9.8%でした。前の年より0.4ポイント増えています。

実物を見ずに、画面で選んで買う人は、少しずつ増えています。

地方に住む人にとって、作品を実物で見に行ける場所は、もともと多くありません。見たい人も、見せたい作家も、距離に阻まれています。

SNSに載せた写真は、遠くの人にも届きます。けれど、写真だけでは大きさも質感も分かりにくく、見た人は「実物を見てから」と言うしかありません。

「実物を見てから」と言ってくれる人は、本気で買うことを考えている人です。その声に答えられないままだと、いちばん買う気のある人を逃し続けます。

しかも相手は、断られたとは思っていません。返事を待つうちに気持ちが冷め、別の作品や別の買い物に目が移っていきます。

本気の声ほど、
待たせると遠ざかる。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい白い部屋で、大きな作品の前に立ち、じっと見つめる人の後ろ姿
実物の前に立つと、作品の力が伝わる(イメージ)

わたしは50歳を過ぎて、初めてアートを買いました。その作品とは、実物の前に立って出会いました。

心をつかまれ、一目惚れでした。あのとき感じたのは、原画の力です。実物の迫力は、今も忘れられません。

だから「実物を見たい」という声は、とても自然だと思います。作品の力を知っている人ほど、そう言うのかもしれません。

ただ、外から見ていて思うのは、一般の人にはアートに出会う場が少ないということです。作家の友達がいたり、アートの世界の近くにいたりしなければ、触れる機会がありません。

実物の力は大きい。そのうえで、足りないのは、アートを見てもらえる環境です。これが、外から見てきたわたしの感覚です。

会いに行けない遠くの人にも、作品の大きさや質感、飾った姿が伝わる。そんな見せ方を整えることが、距離の壁を低くしていきます。実物を見に来られない人も、画面の中で作品と出会えれば、その作品のことを覚えていてくれます。いつか近くで展示があれば、足を運んでくれるかもしれません。

実物に及ばなくても、
画面で近づくことはできる。

数字で答え合わせ:画面で選ぶ人は、増えている

この感覚を、数字で確かめようとしました。

けれど、画面だけで作品を買うと決めた人が、どれくらいいるのか。それを調べた全国の調査には、たどり着けませんでした。

実物を見たいという声の中には、確かめたい気持ちが含まれていると考えられます。大きさや色が、自分の部屋に合うかどうかです。

ただし、「なぜ実物を見たいのか」を直接たずねた全国の調査は、見つかりませんでした。数字が無いので、割合はここでは作りません。

「見てもらえる環境があれば、画面の向こうでも決める人がいる」という感覚は、一部当たりです。ネットで物を選ぶ人が増えていることは、数字で確かめられました。ただ、作品に限った数字はありません。

大きさ、質感、飾った姿。この3つが画面で伝われば、遠くに住む人も、自分の部屋を思い浮かべながら決められます。会いに行けないことが、あきらめる理由ではなくなります。

遠くの町に住む人が、あなたの作品を部屋に迎える。見に行けなかった人が、画面で確かめて決めてくれる。そんな注文が重なれば、住む場所に関係なく、作品は届いていきます。

3つが伝われば、
遠い人との距離は縮む。

7ARTSで、一緒にできること

明るいリビングの白い壁に飾られた作品と、窓からの昼の光
部屋に飾った姿が見えると、遠くの人も決めやすい(イメージ)

先に正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSが答えられるのは一部です。作品を相手のもとへ運んで見せる仕組みは、7ARTSにはありません。

そのうえで、画面での伝わり方を良くするための場所と道具は、作家のみなさんと一緒に使えます。

7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品の写真と説明を載せておけば、遠くの人もいつでも見られ、そのまま購入やオファーを申し込めます。

買う人が気にする「自分の部屋に合うか」には、答えられる道具があります。

作品を部屋やお店に飾った姿を見せる仕組みもあります(解決策1 飾ってみて)。

福岡のギャラリーでは、通りから見える店先で作品を紹介しています。近くの方なら、実物を見てもらえる場所の一つになります。

サイトは5か国語で表示できます。日本で制作を続けながら、海外の人にも作品を見てもらえます(解決策2 外国語表示)。

ただ、どの写真を載せ、どんな言葉で大きさや質感を伝えるか。ここは作家にしかできない部分です。そこを丁寧にするほど、画面の向こうの人は安心して決められます。

運べない分は、
伝え方で埋めていく。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。作品の大きさが分かる写真を撮る、質感が分かる近い写真を撮る、飾った姿を見せる
今日、作家がやること

見てほしい作品を1点選び、大きさが分かる写真を撮ってみてください。手や椅子、本など、身近な物と並べるだけで十分です。

次に、表面に近づいて、筆の跡や素材の手ざわりが分かる写真を1枚撮ります。光は、窓から入る昼の光がいちばん素直です。

最後に、その作品を部屋に飾った姿を見せる形にしてください。

「実物を見たい」と言われたら、この3つを先に送ってみてください。相手が確かめたいことに先回りできれば、会いに行けなくても話は前に進みます。

写真を撮るときは、色が実物に近く見えるかも確かめてください。画面と実物の色がずれると、届いたときの喜びが、がっかりに変わってしまいます。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • ネット販売:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月)