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作家の悩み百選 No.055

手づくり市で、作家と見られない

「手づくり市に出ても、作家としては見てもらえない」。品物として選ばれる作品を、作家の作品として覚えてもらう方法を考えます。

明るい日差しの下、木の机に色あざやかな手づくりの器と置物が並んでいる

こんなもどかしさはありませんか

「手づくり市に出ても、作家としては見てもらえない」

器や布小物、小さな置物。一つずつ手で仕上げた作品を、手づくり市の机に並べる。手に取ってくれる人は多く、売れていく日もあります。

けれど、聞かれるのは値段と使い方ばかり。誰がどんな思いで作ったのかには、なかなか目を向けてもらえません。

作品の裏に名前を書いても、使ううちに、誰が作ったかは忘れられていきます。

ここで、ひとつ考えてみてください。買ってくれた人は、来月もあなたの名前を覚えているでしょうか。

市が終われば、机はたたまれます。品物は手元に届いても、作った人の名前までは一緒に届いていないのかもしれません。

手づくり市は、作品を手に取ってもらえる貴重な場です。だからこそ、品物としてだけ見られてしまうのは、とてももったいないことです。

品物は届いても、
作り手の名前は届かない。

あなたは、作品と一緒に、あなたの名前を手渡せていますか。

品物として見られ続けると、どうなるか

手づくり市で、作家の作品がどう見られているのか。調べた全国の調査は見つかりませんでした。

ただ、市を歩く人の多くは、自分の暮らしに合う物を探しています。

作った人を知るためではなく、暮らしに合うかどうかで選ぶ。それ自体は、とても自然なことです。

ただ、作家の名前が伝わらないままだと、作品は「すてきな品物」になります。そして、ほかの品物と値段で比べられてしまいます。

値段で比べられると、手間をかけた作品ほど高く見えてしまいます。作り手の思いが伝わらなければ、その差は「高い」という印象だけで終わります。

市で買われた日があっても、それが続くかどうかは、次の市の天気や人出しだいになってしまいます。

それでも、名前が残らない売り方を続ける限り、次の市でもまた一から知ってもらうことになります。

名前が残らなければ、
毎回ふり出しから始まる。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい屋外の手づくり市で、木の机に並んだ色あざやかな器や絵付けの置物を、手に取る人の手元
手に取ってもらえても、名前は残りにくい(イメージ)

わたしはアート業界の外から来た人間です。外から見ていて、気づいたことがあります。

これまで作品は、ギャラリーや画商が売ってきました。その売り方では、お客さんはギャラリーにつき、作家にはつきにくい。作家が、自分のお客さんを持っていないのです。

手づくり市でも、同じことが言えるのではないでしょうか。お客さんは市につき、作った人にはつきにくい。市が開かれなければ、出会いも生まれません。

一方で、手づくり市には大きな可能性もあります。来ている人の中には、ふだんアートを買わない一般の人も多いはずです。

一般の人にも、欲しいと思えば買えるお金はあります。とても高い作品は無理でも、暮らしに合う作品なら買える人はたくさんいます。そちらの市場のほうが、ずっと大きいのではないか。それが、わたしの感覚です。

手づくり市で器を選ぶ人は、手でつくられた物の良さを、自分の目で確かめています。作品と向き合う目を、すでに持っている人たちです。

大きな市場の入口に、すでに立っている。あとは、作家としての名前を残すだけです。

手づくり市は、
大きな市場の入口。

数字で答え合わせ:作る人は、100人に3人

この感覚を、数字で確かめます。文化庁の調査で、この1年に文化芸術の活動をしたかを聞いています。

文学・音楽・美術などの作品を「創作した」と答えた人は、2.9%でした。

作品を自分でつくる人は、100人に3人ほどです。手に取る人の多くは、つくる側ではなく、選ぶ側の人たちです。

選ぶ側の人にとって、目の前の器や布の向こうに、つくった人の手や時間が見えたら。それは、ほかの品物にはない、特別な理由になります。

「作る人は、それだけで特別な存在」という感覚は、当たりでした。だからこそ、作家であることを、品物と一緒に伝える意味があります。

その人たちが、あなたの名前を覚えてくれたらどうなるでしょう。市が開かれない月にも、作品を探してくれる人が現れます。

名前を覚えた人は、友人への贈り物を探すときにも、あなたを思い出してくれます。プレゼントとして選ばれる作品は、新しいお客さんを連れてきます。

品物として選ばれていた作品が、作家の作品として選ばれるようになる。次の市では「あの人の新しい作品」を目当てに、机の前で足を止める人が増えていきます。

品物から、
あの人の作品へ。

7ARTSで、一緒にできること

明るい白い棚に、色あざやかな絵付けの器と小さな置物が飾られた店の一角と、それを眺める人の後ろ姿
作家の作品として並べる(イメージ)

7ARTSは、作品と一緒に、作家の名前と思いが届く場所を、作家のみなさんと一緒につくっています。

7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品を載せておけば、市が開かれない日にも、サイトから購入やオファーが届きます。

オファーは9種類あり、作家が「受けられる」と選んだものだけが届きます。作品証明書で、作品の確かな記録も残ります。

値段に迷ったときは、値段の目安を出す道具も使えます。品物の値段ではなく、作品としての値段を考える手がかりになります。

市で出会った人が、あとからページを開いて、ほかの作品も見てくれる。市の机の上には並べきれない作品も、そこで見てもらえます。

暮らしの中に作品を置いた姿を見せる仕組みもあります(解決策1 飾ってみて)。

ただ、名前を覚えてもらう工夫は、作家自身にしかできません。市で手渡す一枚の紙に、ページの場所と作品への思いを書いてみてください。そこから一緒に、あなたのお客さんを増やしていきましょう。

作品と一緒に、
あなたの名前を手渡す。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。作家としての一言を書く、その一言と作品を作家ページに載せる、市で手渡す紙にページの場所を書く
今日、作家がやること

まず、あなたが何を大切にして作っているかを、一言で書いてみてください。素材のこと、色のこと、使う人への思いなど、どれでもかまいません。

次に、その一言と作品を、作家ページに載せてみてください。

最後に、次の市で手渡す小さな紙に、そのページの場所を書いておいてください。名前が残れば、市の外にもお客さんが生まれます。

紙には、ページの場所のほかに、作品に込めた思いを一行添えてください。読んだ人の記憶に残りやすくなります。

一度に大きく変えなくて大丈夫です。手渡す紙が一枚増えるだけで、次に会うときの距離は、少しずつ縮まっていきます。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 鑑賞の状況:文化庁「文化に関する世論調査」報告書(2024年3月・全国18歳以上24,996人)