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作家の悩み百選 No.047

老後や病気に、どう備える?

「老後や病気のときの備えがない」。描けなくなる日を思うと不安。個人で活動する作家が、早めに調べたいことをまとめました。

やわらかな昼の光が入るアトリエに、描き上げた作品と使い込んだ筆が並ぶ

こんな不安はありませんか

「老後や病気のときの備えがない」

もし病気で、しばらく描けなくなったら。年を重ねて、体が思うように動かなくなったら。収入はどうなるのだろう。

考えると怖くなるので、つい後回しにしてしまう。今は作品のことで頭がいっぱいで、先のことまで手が回らない。

それでも、描けなくなる日のことを、まったく考えずにいられる作家は少ないはずです。

会社に勤める人には、会社の制度で守られている部分があります。一人で活動する作家は、その多くを自分で選んで備える必要があります。

ここで、ひとつ考えてみてください。描けなくなった日に、作品と暮らしを支えてくれるものは何でしょうか。

答えがすぐに浮かばないなら、今がそれを考える時です。

備えは、怖さから
目をそらさないことから。

あなたは、先のことを考えるのを、後回しにしていませんか。

後回しにすると、どうなるか

作家がどれくらい老後や病気に備えているか。全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

ただ、長く生きる時代であることは、数字が示しています。2025年には、75歳以上の人が約2,180万人になりました。団塊の世代が、全員75歳以上になったのです。

長く生きるほど、描けなくなったあとの時間も長くなります。その間の暮らしを、どう支えるのかが問われます。

物の値段が上がりがちな今、備えを先送りにすると、あとから取り戻すのは大変です。

描けない期間は、誰にでも突然やってくる可能性があります。そのときに慌てないためには、元気な今のうちに調べておくことです。

売り先の面でも、心配があります。作家とギャラリーの数を比べてみます。

芸術家などに、活動を続ける上での課題を聞いた調査もあります。

活動を続ける上での課題のグラフ。仕事が不定期で不安定61.3%、老後の年金が十分でない49.0%など

「老後に備えるための年金制度が十分ではない」は49.0%でした。

「病気・けがの保険がない」は29.1%です。いちばん多いのは、「仕事が不定期で不安定」の61.3%でした。

売り先を1つに頼っていると、体調をくずして展示ができない間、収入も止まりやすくなります。

先送りにした備えは、
あとで重くなる。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい白い壁のギャラリーで、色あざやかな作品の前に並んで立つ年配の二人の後ろ姿
作品を待ってくれる人がいる(イメージ)

わたしは、50歳を過ぎて初めてアートを買いました。それまで、アートにそれほど興味はありませんでした。

外から見ていて気になったのは、取り扱いが終わった途端に、売れなくなる作家がいることでした。

その理由は、作家が自分のお客さんを持っていないからではないか。お客さんがギャラリーについていて、作家にはつきにくい。これが、わたしの感覚です。

自分のお客さんを持っている作家は、休んだあとも、作品を届ける先が残っています。年を重ねて大きな作品が作れなくなっても、作品を待ってくれる人がいます。

だから、作家が自分でお客さんを持ち、直接届けられる環境を持つこと。それがこれからは欠かせないと、わたしは考えています。

ギャラリーとの関係は、これからも大切です。そのうえで、自分のお客さんという土台を、もう1つ持っておく。それは、年金や保険の制度とは別の、作家ならではの備えにもなるはずです。

お客さんとのつながりは、急にはつくれません。元気なうちから少しずつ育てておくことで、いざというときの支えになります。

制度の備えと、
お客さんという備え。

数字で答え合わせ:作家の多くは、自分で備える立場

では、作家はどんな制度の中で暮らしているのでしょうか。芸団協が2025年に、芸術家の社会保険の入り方を調べています。

医療保険は「国民健康保険」が55.3%、年金は「国民年金」が64.1%でした。会社に勤める人が入る厚生年金より、ずっと多くなっています。

多くの作家は、会社の制度に守られず、自分で備える立場にいます。

「作家は、自分で備えなければならない」という見方は、当たりでした。ただ、お客さんを持つことが暮らしの安定にどれくらい効くのかを結ぶ調査は、見つかっていません。

制度で暮らしの土台を整え、作品を直接届ける先も育てていく。この2つがそろえば、描けない時期が来ても、すべてが止まるのを防ぎやすくなります。

作品を届ける先が国内のあちこちにあれば、1つの売り先が止まっても、作品は誰かに届き続けます。

年を重ねてからの作品を、待ってくれる人がいる。それは、お金だけでは測れない、作家にとっての大きな支えです。

備えのある作家は、休むことも選べます。無理をして体をこわす前に、立ち止まれるのです。

先の不安が小さくなれば、今の作品にもっと集中できます。備えは、未来のためだけでなく、今日の制作のためでもあるのです。

備えがあるから、
筆は今日も進む。

7ARTSで、一緒にできること

明るい木の机の上で、ノートに書き込む手元と、窓辺に立てかけた描き上げた作品
今日、1つだけ調べてみる(イメージ)

正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSはまだ答えを持っていません。老後や病気の備えを相談できる仕組みは、7ARTSにはありません。

そのかわり、個人で活動する人が調べておきたい、公的な制度の例を挙げておきます。

  • 国民年金・国民年金基金
  • 個人型確定拠出年金(iDeCo)
  • 小規模企業共済(個人事業主の退職金にあたる制度)
  • 国民健康保険の給付(お住まいの自治体の窓口)

どれが合うかは、収入や年齢、家族の状況で変わります。ここで挙げたのは一般的な例で、おすすめではありません。

制度の選び方は、年金事務所や自治体の窓口に相談してください。税理士やファイナンシャルプランナーなどの専門家に聞くこともできます。

制度は、入る時期によって受けられる内容が変わることがあります。早めに知っておくほど、選べることは多くなります。

作品を直接届ける先を育てることは、作家ページに作品を載せるところから始められます。7arts.jpの作家ページは、その入口の1つです。

知っているだけで、
選べる道は増える。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。気になる制度を1つ選ぶ、公式のページを開いて読む、聞きたいことを1つ書き出す
今日、作家がやること

上の4つのうち、気になる制度を1つだけ選んでみてください。

次に、その制度の公式のページを開きます。申し込まなくてかまいません。誰が入れるのか、どんな時に役立つのかを読むだけで十分です。

読んで分からなかったことを、1つだけ書き出しておきます。それが、窓口や専門家に相談するときの質問になります。

1つ分かれば、次の1つも調べやすくなります。

家族がいる方は、調べたことを家族とも話してみてください。

今日1つ調べることが、描けない日の自分を支える、最初の備えになります。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 75歳以上の人数:厚生労働省の資料(2025年の推計)
  • 活動を続ける上での課題:「新型コロナウイルス感染拡大の影響に関するアンケート調査」文化芸術推進フォーラム・日本芸術文化振興会(2021年)
  • 芸術家の働き方:公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)「芸術家のセーフティネットの構築に関する調査研究報告書」(2026年3月)