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作家の悩み百選 No.045

代金の遅れを、先に防ぐには

「支払いが遅れる・払ってもらえないことがある」。作品を渡したのに代金が届かない。そうなる前にできることを考えます。

明るいアトリエで、描き上げた作品を丁寧に包む作家の手元

こんなことはありませんか

「支払いが遅れる・払ってもらえないことがある」

作品を渡したのに、約束の日を過ぎても代金が届かない。催促の連絡をするのは、気が重い。

「相手も忙しいのだろう」と待っているうちに、1か月、2か月と過ぎていく。言い出せないまま、関係がぎくしゃくしてしまう。

作品を作ったのは、あなたです。代金を受け取るのは、当然のことです。

それでも、お金の話を切り出すのは、作品の話よりずっと勇気が要ります。だから、つい黙ってしまうのです。

待っている間、次の作品に向かう気持ちも、どこか落ち着きません。

ここで、ひとつ考えてみてください。支払いの日を、作品を渡す前に決めていましたか。

日にちが決まっていなければ、遅れているのかどうかさえ、はっきり言えません。

決めていない約束は、
遅れたとも言えない。

あなたは、言い出しにくくて、待ち続けていませんか。

待ち続けると、どうなるか

作家の代金がどれくらい遅れているか。全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

ただ、待つことの重さは、作家を取りまく数字からも想像できます。

そのかわり、芸術家の働き方を調べた報告書があります。

仕事や収入の変動が大きく、補償のない不安定な立場だと痛感している。そう答えた芸術家は、おおよそ3人に1人でした。

収入が不安定な作家にとって、1件の代金は大きな意味を持ちます。それが入らないと、画材も、次の作品の計画も止まってしまいます。

代金が届かない状態が続くと、相手への気持ちも曇ります。せっかくの縁がお金のことで途切れるのは、どちらにとっても残念なことです。

入るはずのお金が遅れると、もともと揺れやすい暮らしに、さらに大きく響きます。

催促に気持ちを取られると、作ることにも集中できません。待つ時間は、お金だけでなく、制作の時間まで削っていきます。

そして、一度遅れても何も言わずにいると、次も同じことが起きやすくなります。

待つ時間が、
次の作品を遠ざける。

作家の方から、よく聞く場面

明るい部屋で、紙に包まれた作品を両手で差し出す手元
口約束のまま、作品を渡してしまう(イメージ)

作家の方から、こんな話を聞くことがあります。

知り合いの紹介で、作品を買いたいという人が現れた。うれしくて、その場で作品を渡した。代金は「来月払うね」と言われた。

ところが、翌月になっても連絡がない。紹介してくれた人の顔も浮かび、催促できないまま時間が過ぎた、という話です。

相手を責めたいわけではありません。口約束のまま作品を渡したことで、お互いの記憶がずれてしまったのです。

わたしは、関わる全員がうれしい形にすることを、商売の基本にしています。作家も、買う人も、紹介した人も、誰も嫌な思いをしない形です。

紹介した人にとっても、今の状態は気まずいはずです。最初に約束を文字にしていれば、3人とも気持ちよく取引を終えられました。

そのためにも、代金の約束は先に文字で残しておく。それが、相手との関係を守ることにもつながると考えています。

約束を先に決めることは、相手を疑うことではありません。お互いが安心して、作品のやり取りを楽しむための準備です。

約束を文字にすることは、
関係を守ること。

答え合わせ:約束を先に決めると、離れていくか

代金を「言い出しにくい」と感じる背景には、作品を売ることへの遠慮があるのかもしれません。支払いの約束と買う人の気持ちの関係を、確かめようとしました。

けれど、それを調べた全国の調査には、たどり着けませんでした。

ただ、作品を買う人は、作品を気に入って自分のために買っています。作家への遠慮で払っているのではありません。

「代金の約束を先に決めても、買う人は離れない」という見方は、今回は確かめられませんでした。支払いについての調査は無いので、言い切れません。ただ、約束がはっきりしていることは、買う人の安心にもつながるはずです。

支払いの日が決まっていれば、遅れたときも「約束の確認」として連絡できます。気まずさではなく、事務の連絡になります。

買う人にとっても、いつまでに、どうやって払えばいいかが分かれば、迷わずに済みます。

約束がはっきりしていれば、作家も、買う人も、気持ちよく次の取引に進めます。

お金の心配が減れば、次の作品に気持ちを向けられます。作品を渡す日が、不安な日ではなく、うれしい日に変わっていきます。

お金の約束が整うと、
心は作品に戻ってくる。

7ARTSで、一緒にできること

明るいリビングの白い壁に掛けられたばかりの色あざやかな作品を、少し離れて眺める人の後ろ姿
作品が、気持ちよく持ち主のもとへ(イメージ)

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSが答えられるのは一部です。

7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品を載せておけば、見た人からサイトを通して購入やオファーが届きます。

サイトを通した申し込みなので、口約束だけでやり取りが始まるのとは違います。誰から、どの作品に申し込みがあったのかが、形として残ります。

オファーは9種類あり、作家が「受けられる」と選んだものだけが届きます。望まない依頼から話が始まることを、減らせます。

作品の申し込みを、サイトという決まった入口から受けておく。それだけでも、やり取りの始まりがはっきりします。

ただ、届いた申し込みにどう答え、どんな約束を交わすかは、作家自身が決めることです。

一方で、7ARTSのサイトの外で受けた依頼や、直接の取引の代金には、7ARTSは答えられません。

そうした支払いで困ったときは、弁護士などの専門家に相談してください。国が用意した無料の相談窓口「フリーランス・トラブル110番」もあります。

入口は一緒に整える。
約束を決めるのは、あなた。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。待っている代金を書き出す、約束の日を確かめる、次の取引から日にちを文字で残す
今日、作家がやること

いま、支払いを待っている作品や仕事があれば、紙に書き出してみてください。相手、作品、金額、約束の日の4つです。

4つを書き出すだけで、今どれだけ待っているのかがはっきりします。

約束の日が決まっていなかったものは、次の連絡で日にちを決めましょう。「確認のためにご連絡しました」と始めれば、言い出しやすくなります。

そして次の取引からは、作品を渡す前に、支払いの日と方法をメールなどの文字で残してください。

最初の1回は勇気が要ります。けれど、決めておくほど、次からは楽になります。

日にちを決めてから渡す。それだけで、待ち続ける時間は減っていきます。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 芸術家の働き方:公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)「芸術家のセーフティネットの構築に関する調査研究報告書」(2026年3月)