
こんなときはありませんか
「スランプのとき相談できる人がいない」
キャンバスの前に座っても、手が動かない。何を作りたかったのか、自分でも分からなくなる。
家族に話しても、「休めばいいよ」で終わってしまう。作家どうしの知り合いも少なく、同じ苦しさを分かってくれる人が見つからない。
描けない日が続くと、作ること自体が怖くなっていきます。
「才能がなくなったのでは」と考え始めると、筆を持つことさえつらくなります。
ここで、ひとつ考えてみてください。止まっているのは、手でしょうか。それとも、気持ちでしょうか。
手が止まった理由が分からないまま、ひとりで考え続けるほど、出口は見えにくくなります。
止まっているのは、
手より心かもしれない。
あなたは、描けない時間を、ひとりで過ごしていませんか。
ひとりで抱え込むと、どうなるか
作家がどれくらいスランプに悩んでいるか。全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。
ただ、作品をよく知る相談相手の少なさは、数字から読み取れます。
そのかわり、ひとりで抱えがちな気持ちを調べた国の調査を見てみます。作家に限った数字ではありません。

孤独を感じることが「時々ある」人は15.8%、「たまにある」人は19.6%でした。「しばしば・常にある」を合わせると、およそ4割です。
スランプの悩みは、作品をよく知る相手でなければ話しにくいものです。話せる相手がいないまま、ひとりで抱え込む作家は多いはずです。
話す相手がいないと、同じ考えの中をぐるぐる回り続けます。「このまま描けなかったら」という不安が大きくなり、さらに手が重くなります。
スランプの間は、作品を外に出す機会も減ります。見てもらう機会が減ると反応も届かず、気持ちはさらに内側に向かいます。
止まった時間が長くなるほど、もう一度始めるのに力が要ります。スランプは、ひとりで抱えるほど長引きやすいのです。
相談できる人がいるかどうかで、止まっている時間の長さは変わるのかもしれません。
ひとりで考えるほど、
出口は遠くなる。
作家の方から、よく聞く場面

作家の方から、よくこんな話を聞きます。
描けない日が何週間も続いた。アトリエにいるのがつらくて、ふらりと美術館や知らない展示に出かけた。そこで、ほかの人の作品の前から、しばらく動けなくなった。
家に帰ると、なぜか手が動いた。答えをもらったわけではない。ただ、作品を作る人の気持ちを、もう一度思い出せた、という話です。
作品の前で動けなくなった時間は、何かを学ぶための時間ではありません。作品から力をもらう時間です。その時間が、自分の作品に戻る道をひらいてくれます。
わたし自身、初めて原画の前に立ったとき、心をつかまれた日のことを覚えています。作品には、見た人の気持ちを動かす力があります。
その力は、作る人の心にも届くことがあります。ひとりで考えるより、外に出て、作品や人にふれる。それが、止まった手を動かすきっかけになることがあります。
話す相手は、答えを持っている人でなくてかまいません。聞いてもらうだけで、何に迷っているのかが見えてくることもあります。
描けない時期は、作家なら誰にでも訪れうるものです。大切なのは、その時期をひとりきりの部屋で過ごし続けないことです。
答えをもらうより、
外の空気にふれる。
答え合わせ:完璧な作品を、待っている人はいるか
スランプの根っこには、「もっと良い作品でなければ」という思いが隠れていることがあります。買う人は、何を求めているのでしょうか。
買う人が作品に完璧さを求めているのか。それを確かめた全国の調査には、たどり着けませんでした。
わたしが作品に心をつかまれたとき、細かな仕上がりを見比べたわけではありません。作品全体から受けた力に、心が動いたのです。
「完璧でなくても、見た人の心を動かす作品はある」という感覚は、今回は確かめられませんでした。数字で言い切れることではありません。ただ、わたしの一目惚れは、完璧さを探した結果ではありませんでした。
今の作品のままでも、届く人はいます。そう思えると、肩の力が少し抜けます。
スランプのときは、自分の作品の欠点ばかりが目に入ります。けれど、見る人が受け取るのは、細かな欠点よりも作品全体の空気です。
描けない時期に作った小さな作品が、あとで誰かのお気に入りになることもあります。
肩の力が抜けると、小さな作品から手を動かせるようになります。1枚描き終えた手ごたえが、次の1枚を呼んでくれます。止まっていた時間は、作品を見つめ直した時間に変わっていきます。
完璧でなくても、
心が動けば届く。
7ARTSで、一緒にできること

正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSはまだ答えを持っていません。スランプの相談に答える仕組みは、今の7ARTSにはありません。
だからこそ、作家が今日からできることを書いておきます。
- 描けない日の気持ちを、3行だけ書き出す
- 自分と関係のない展示や美術館に、1つだけ出かける
- 作品の話を聞いてくれる人を、1人だけ思い浮かべる
気持ちの落ち込みが長く続くときは、ひとりで我慢しないでください。眠れない・食べられないといった体の不調があるときも同じです。
かかりつけの医療機関や、お住まいの自治体の心の相談窓口に相談できます。厚生労働省の「まもろうよ こころ」のページにも、相談先がまとめられています。
小さな作品でも、描き上げたら作家ページに載せてみてください。誰かの目にふれることが、次の1枚を描く力になります。
同じように描いている人と話せる場は、地域の美術サークルや教室などにもあります。気負わず、のぞいてみるのも一つの方法です。
ひとりで止まらず、
話せる場所を持っておく。
今日、ひとつだけやってみてください

今の気持ちを、紙に3行だけ書き出してみてください。「何が描けないのか」「何が怖いのか」。誰かに見せなくてかまいません。
次に、ほかの人の作品を見に行ってください。展示や美術館に行けなければ、画集を1冊開くだけでも十分です。
最後に、はがきくらいの小さな紙に、1枚だけ描いてみてください。上手さは問いません。
描けたら、その1枚を、目に入る場所に飾っておきましょう。
1枚描けたら、その日はそれで十分です。次の日も、同じ大きさの紙から始めてみてください。
手が1回動けば、止まっていた時間は、少しずつ動き出します。
作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する
出典
- 孤独感:内閣官房「人々のつながりに関する基礎調査(令和4年)」



