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作家の悩み百選 No.034

作品を、もっと身近に飾ってもらうには

「作品を『もっと身近に飾ってもらう』方法が分からない」。飾った姿を見せる意味を、数字と外から見てきた感覚で確かめます。

明るい家の玄関の白い壁に飾られた作品と、花を置いた木の棚

こんな願いはありませんか

「作品を『もっと身近に飾ってもらう』方法が分からない」

美術館やギャラリーの白い壁では、作品は堂々として見える。けれど、ふつうの家のリビングに飾ってもらう姿は、なかなか想像がつかない。

「アートは敷居が高い」と言われるたびに、もどかしくなる。本当は、暮らしの中でこそ楽しんでほしいのに。

作家の方からも、この思いをよく聞きます。作品を特別な場所のものではなく、毎日目にするものにしたい。そう願う作家は多いのです。

けれど、作品を見せる場所は、今も展示の会場が中心です。白い壁の前で見た作品を、自分の家の壁に置き換えて考えられる人は、そう多くありません。

ここで、ひとつ考えてみてください。見る人は、自分の部屋に飾った姿を、思い浮かべられているでしょうか。

飾った姿が想像できなければ、作品は「すてきだけれど、自分には関係ないもの」で終わってしまいます。

想像できない作品は、
部屋にはやってこない。

あなたの作品は、見る人の暮らしの中に、思い浮かんでいますか。

特別な場所だけだと、どうなるか

作品を見てもらう代表的な場所は、美術館やギャラリーです。その場所は、どれくらい身近にあるのでしょうか。

文化庁の調査で、自宅から1時間30分以内に行ける施設を聞いています。美術館に行けると答えた人は47.1%でした。

半分以上の人にとって、美術館は気軽に行ける場所ではありません。作品を見に行くこと自体が、特別な外出なのです。

ただ、こうした会場に来るのは、もともとアートに関心のある人です。暮らしの中でアートを楽しみたいと思いながら、会場には来ない人のほうが、ずっと多いはずです。

毎日の暮らしの中で作品をふと目にする機会は、地方ではなおさら限られます。

作品を家に飾っている人の割合は、何%なのか。調べましたが、全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

それでも、特別な場所で見せるだけでは、作品は特別なもののままです。ふつうの暮らしをしている人にとって、作品は遠い存在であり続けます。

特別な場所だけでは、
作品は遠いまま。

外から見てきた、わたしの感覚

明るいホテルのロビーの白い壁に飾られた大きな作品の前を、人が通り過ぎていく後ろ姿
ロビーに飾った姿を見るから、飾りたくなる(イメージ)

わたしはアート業界の人間ではありません。外から見てきて、気づいたことがあります。

今までのアート業界は、作品が暮らしの中に飾られた姿を、ほとんど見せてこなかったのではないか。これが、わたしの感覚です。

アパレルは、洋服だけを撮った写真では売っていません。モデルが着てかっこよく見える姿を見せます。それに憧れて、人は服が欲しくなります。

一方で、アートは作品だけを展示して販売してきました。それでは、暮らしの中の姿が伝わりません。

玄関に飾った姿、カフェに飾った姿、ホテルのロビーに飾った姿。それを見るからこそ、人はこの絵を飾りたいと思うのです。

作品の良さが変わるわけではありません。変わるのは、見る人が自分の暮らしに重ねられるかどうかです。

見せ方を工夫し、心を込めて、買う方のことを考えて表現しているか。作家のみなさんにも、そこに気づいてほしいと思っています。

着た姿を見せる服のように、
飾った姿を見せる。

答え合わせ:確かめられたこと、まだのこと

この感覚を、数字で確かめようとしました。

けれど、暮らしの場面と一緒に作品を見た人が、どれくらい飾りたくなるのか。それを確かめた全国の調査には、たどり着けませんでした。

作品は、特別な収集家だけのものではありません。多くの人が、自分の部屋に置くことを思い浮かべて選んでいます。

「飾った姿を見るからこそ、飾りたくなる」という感覚は、今回は確かめられませんでした。ただ、美術館が身近にない人が多いことは、数字で分かっています。作品のほうから暮らしの場面に近づく意味は、そこにあります。

それなら、作品を見せるときも、暮らしの場面と一緒に見せればいい。白い壁の前の1枚に加えて、リビングの1枚、お店の1枚。見る人は、そこに自分の暮らしを重ねます。

贈り物として選ぶ人にとっても、飾った姿は大きな手がかりです。渡す相手の家に飾られた様子が浮かべば、選ぶ気持ちが固まります。

「アートは敷居が高い」という思い込みも、飾った姿の前では薄れていきます。作品は、毎日の暮らしに寄りそうものに変わります。

飾った姿を見て選ばれた作品は、買った人の家で、毎日その人の目に触れ続けます。それこそが、作品がいちばん身近になる形です。

敷居を下げるのは、
暮らしの中の1枚。

7ARTSで、一緒にできること

明るい美容室の待合の白い壁に飾られた色あざやかな作品と、明るい木のベンチ
ふだんの場所に、作品がある(イメージ)

7ARTSは、作品を暮らしの近くに届ける見せ方を、作家のみなさんと一緒につくっています。

その中心が「飾ってみて」です。作品を玄関やカフェ、ホテルのロビーに飾った姿を見せられます(解決策1 飾ってみて)。

見る人は、作品だけの写真ではなく、暮らしの中の作品を見て選べます。飾ったあとの姿が想像できると、迷っていた人の背中が押されます。

7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品を載せておけば、サイトから購入やオファーが届きます。オファーは9種類あり、作家が「受けられる」と選んだものだけが届きます。

福岡のギャラリーでは、通りから見える店先で作品を紹介しています。道を歩く人が、ふと足を止める。そんな身近な出会いも、大切にしています。

ただ、どの作品を、どんな場所に飾ってほしいのか。それを決めるのは作家自身です。思い描く場所がはっきりするほど、飾った姿は見る人に届きます。

飾ってほしい場所を、
あなたが決める。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。作品を1点選び飾ってほしい場所を3つ書く、いちばん似合う場所を1つ選ぶ、その場所に飾った姿を見せる
今日、作家がやること

作品を1点選んで、その作品を飾ってほしい場所を3つ書き出してみてください。玄関、寝室、美容室の待合、病院のロビー。

次に、3つの中から、いちばん似合いそうな場所を1つ選んでください。そこにいる人の顔ぶれや、過ごす時間も思い浮かべてみてください。

場所を思い描くときは、壁の色や、光の入り方も考えてみてください。作品の色が映える場所は、作家がいちばんよく知っているはずです。

最後に、その場所に飾った姿を、作品と一緒に見せてください。飾った姿を見せた日から、作品は特別なものから身近なものへ変わります。

暮らしの中に作品がある姿を、まず作家自身が思い描くこと。それが、身近に飾ってもらうためのいちばんの近道です。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 鑑賞の状況:文化庁「文化に関する世論調査」報告書(2024年3月・全国18歳以上24,996人)