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作家の悩み百選 No.033

届け方を、どこで学べばいいか

「マーケティングやSNS運用を学ぶ場所がない」。作家が最初に学ぶべきことは何かを、数字と外から見てきた感覚で考えます。

明るい木の机にノートとパソコンが開かれ、白い壁に描き上げた作品が飾られている

こんな悩みはありませんか

「マーケティングやSNS運用を学ぶ場所がない」

美大や絵の教室では、描き方は教わった。けれど、作品の届け方や売り方を教わる時間は、ほとんどなかった。

本や動画を開いてみると、横文字の言葉ばかり。お店や会社向けの話が多く、作家の自分にどう当てはめればいいのか分からない。

作家の方からも、この悩みはとてもよく聞きます。新しい販路や市場のひらき方は、苦手な方が多い分野だからです。

それでも、届け方を知らないまま描き続ければ、作品は手元にたまっていきます。学ぶ場所がないことは、作家一人の責任ではありません。

とはいえ、誰かが教えに来てくれるのを待っていても、時間だけが過ぎていきます。学ぶ場所がないなら、どこから学ぶかを自分で決めるしかありません。

ここで、ひとつ考えてみてください。届け方を学ぶとき、最初に知るべきなのは、手法でしょうか。それとも、買う人の気持ちでしょうか。

描き方は習えても、
届け方は習えなかった。

あなたは、届け方を学ぼうとして、何から手をつければいいか迷っていませんか。

学ばないままだと、どうなるか

なぜ、作家は届け方を学ぶ機会が少なかったのでしょうか。売る仕組みを知る機会の少なさは、数字にも表れています。

2024年11月に、フリーランスの取引を守る法律が始まりました。その前の国の調査で、法律の内容を「知らない」と答えたフリーランスは76.3%でした。作家に限った数字ではありません。

これまで作品を売ってきたのは、主にギャラリーや画商でした。作家が描き、売る側が届ける。役割が分かれていたので、作家が売り方を学ぶ必要は少なかったのです。

自分を守る決まりでさえ、4人に3人が知らないまま仕事をしている。売り方や届け方となれば、なおさら学ぶ機会は少ないのです。

地方で制作している作家ほど、売る側から学ぶ機会も少なくなりがちです。

作家のうち、届け方を学んだことがある人は何%なのか。調べましたが、全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

学ぶ場所がないまま、見よう見まねでSNSを続ける。反応がなく、自信をなくして投稿をやめてしまう。そんな作家の方の話も、よく耳にします。

売る役を待つだけでは、
届け方は身につかない。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい白いギャラリーで、壁に並ぶ色あざやかな作品を眺める人の後ろ姿
広い市場に、まだ届いていない作品(イメージ)

わたしはアート業界の外から来た人間です。外から見ていて、感じてきたことがあります。

売れている作家は、ひと握りです。それは作品の良し悪しだけでなく、ひと握りの市場の中でしか売っていないからではないか。これが、わたしの感覚です。

広い市場に届けば、活躍できる作家はもっと増えるはずです。売れていない作家の中にも、本当に素敵な作品を描く人はたくさんいます。

ただ、新しい市場のひらき方は、得意な作家ばかりではありません。苦手な方が多いのは、学ぶ場所がなかった以上、自然なことです。

その苦手な部分を支えることが、7ARTSの役目の一つだと考えています。ただ、支えがあっても、届けたいと願うのは作家本人です。

それでも、本当にアートで生きていきたい人もいるはずです。作品をいろんな人に届けたいと思うなら、作家自身が本気になることが欠かせません。誰かが教えてくれるのを待つだけでは、道はひらけないからです。

学ぶ場所を待つより、
本気になった人から変わる。

数字で答え合わせ:半分以上は、会場に来ない

では、届け方を学ぶとき、誰に目を向ければいいのでしょうか。文化庁の調査が、手がかりになります。

この1年に、文化芸術を外へ出て見た人は45.3%でした。半分以上の人は、展示の会場に来ていないのです。

作品を買う人の多くは、特別な収集家ではありません。暮らしの中に好きな作品を置きたい、ふつうの人たちです。

「会場の外に、届けるべき人がいる」という感覚は、当たりでした。学ぶべきは、会場に来る人への見せ方だけではありません。来ない人のいる場所へ、作品を届ける方法です。

それなら、届け方の学びも、難しい言葉から始める必要はありません。誰が、どんな部屋に、どんな気持ちで作品を飾りたいのか。それを考えることが、マーケティングの入口です。

買う人の気持ちが分かれば、SNSの投稿も、展示の案内も、言葉が変わります。「見てください」ではなく、「あなたの玄関に、この色を」と言えるようになります。

言葉が変われば、反応も変わります。反応を見て、また言葉を直す。その繰り返しこそが、作家にとってのマーケティングの学びです。

学びの入口は、
買う人の気持ちにある。

7ARTSで、一緒にできること

明るいカフェの白い壁に飾られた色あざやかな作品の前で、話をする二人の後ろ姿
作品を選んだ人の声を聞く(イメージ)

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSはまだ答えを持っていません。届け方を順を追って学べる場を、7ARTSは今、持っていないからです。

そのうえで、作家が今日からできることがあります。手がかりは、身近なところにあります。作品を買ってくれた人や、気に入ってくれた人です。なぜ選んだのかを聞けば、届け方のヒントが見えてきます。

お店や会社向けの本でも、「誰に、何を、どう届けるか」の考え方は、作家にもそのまま使えます。1冊を選び、自分の作品に当てはめながら読んでみてください。

SNSの使い方は、同じ道具を使っている作家の投稿から学ぶのも一つの方法です。反応を集めている投稿を見つけたら、なぜ心が動いたのかを書き出してみてください。

売り方や事業の進め方を、誰かに相談したいこともあるでしょう。そのときは、地域の商工会議所や、自治体の経営の相談窓口を調べてみてください。無料で話を聞いてくれる所もあります。

学ぶ場がないことを嘆くより、学べる所から学ぶ。その本気が、作品の届き方を変えていきます。

いちばんの先生は、
作品を選んでくれた人。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。作品を気に入ってくれた人を1人思い出す、なぜ選んだのかを聞く、聞いた言葉を次の投稿に使う
今日、作家がやること

これまでに作品を買ってくれた人、気に入ってくれた人を、1人だけ思い出してみてください。

次に、その人に「なぜこの作品を選んでくれたのか」を聞いてみてください。会って話せなければ、短いメッセージでもかまいません。

最後に、聞いた言葉を、次の投稿や作品の説明に使ってみてください。買った人の言葉は、まだ作品を知らない人にいちばん届きます。

すぐに聞ける人がいなければ、展示や投稿で反応をくれた人でもかまいません。大事なのは、作品を見た人の言葉を、自分の耳で聞くことです。

教科書がなくても、答えはあなたの作品の近くにあります。1人の声を聞いた日から、あなたの届け方の学びは始まります。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • フリーランスの取引:公正取引委員会・厚生労働省「フリーランス取引の状況についての実態調査(法施行前の状況調査)結果 概要」(2024年10月)
  • 鑑賞の状況:文化庁「文化に関する世論調査」報告書(2024年3月・全国18歳以上24,996人)