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作家の悩み百選 No.029

「いつまで続けるの?」と言われたら

「家族や周りに『いつまで続けるの?』と言われる」。家族の心配の正体を、数字と外から見てきた感覚で考えます。

明るいダイニングの白い壁に花の作品が飾られ、木のテーブルにお茶が2つ置かれている

こんな悩みはありませんか

「家族や周りに『いつまで続けるの?』と言われる」

家族との食事の席で、ふいに聞かれる。心配してくれているのは分かる。それでも、その一言が胸に刺さったまま抜けない。

久しぶりに会った親戚や友人にも、同じことを聞かれる。笑ってごまかしながら、自分でも答えを持っていないことに気づく。

作家の方からも、この一言に傷ついたという話をよく聞きます。近い人の言葉ほど、長く心に残るからです。

しかも、その一言は一度では終わりません。正月、法事、誕生日。家族が集まるたびに、同じ問いがくり返されます。

言い返したい気持ちと、心配をかけて申し訳ない気持ち。その両方を抱えたまま、黙ってアトリエに戻る。そんな夜を過ごしたことはないでしょうか。

ここで、ひとつ考えてみてください。家族には、あなたの作品が誰かに届いている姿が見えているでしょうか。

近い人の一言ほど、
深く刺さる。

あなたは、その一言に、何と答えていますか。

答えられないままだと、どうなるか

家族が心配する理由の一つは、作家がこの先も続けていけるのか、見通しが見えないからかもしれません。作家自身は、どう考えているのでしょうか。

芸団協が2025年に、芸術家へ「10年後もこの仕事を続けたいか」を聞いています。「続けたい」と答えた人は74.4%でした。

作家の多くは、続けたいと願っています。けれど、その願いと、家族に見えている姿の間には、差があるのかもしれません。

家族の言葉が、作家にどれほど影響しているのか。調べましたが、全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

ただ、答えられないまま一言をくり返し聞くと、自分でも続ける意味を疑い始めます。家族に作品の話をしなくなり、アトリエにいる時間に後ろめたさを感じるようになります。

作品の話ができない家では、作家は一人で制作を続けることになります。応援してほしい人に応援してもらえないことほど、つらいことはありません。

後ろめたさは、
筆を少しずつ重くする。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい白い展示室で、色あざやかな大きな作品の前に初めて立つ人の後ろ姿
初めて作品と出会った日(イメージ)

わたしは50歳を過ぎるまで、アートにそれほど興味がありませんでした。一般の人は、作家の友達がいたりアートの世界にいたりしなければ、作品に触れる機会がないのです。

作家の家族も、同じなのかもしれません。作品が人の心を動かし、買われていく場面を、まだ見たことがないのではないでしょうか。

その後、本物の作品の前に立ったとき、アートの力を思い知らされました。一目惚れで、その場で買うと決めていました。

見たことがないものは、分からない。分からないものは、不安になります。家族が知らないのは、作品の行き先なのかもしれません。

知らない世界のことを、人は心配するしかありません。家族が厳しい言葉を口にするのは、あなたを大切に思っているからでもあります。

家族の目線は、あなたの作品にまだ出会っていない、多くの人の目線とも重なります。家族に伝わる見せ方は、きっと外の人にも伝わります。

だからこそ、作家自身が本気になって、作品が届く姿を見せていくことが大切です。言い返す言葉を探すより、届いた事実を一つずつ積み上げる。その姿が、いちばんの答えになるはずです。

反対ではなく、
まだ見ていないだけ。

数字で答え合わせ:報われるまでの、ふつうの長さ

この感覚を、数字で確かめます。

同じ報告書で、活動を始めてから報酬を得られるようになるまでの年数を聞いています。芸術家は平均9.9年でした。

作品が収入になるまでに、10年近くかかるのは珍しいことではありません。家族が「いつまで」と聞きたくなるのも、無理のない長さです。

「家族の心配は、知らないことから生まれる」という感覚は、一部当たりです。作品が収入になるまで長い時間がかかるのが普通だと、数字で確かめられました。ただ、家族の気持ちまでは、数字で測れません。

逆に言えば、作品が届く場面を見せれば、家族の見方は変わりうるということです。お店の壁に飾られた作品、足を止めて見入る人、作品を選んでくれた人の一言。

そうした場面を、家族と分かち合ってみてください。「いつまで続けるの?」が、「次はどこに飾られるの?」に変わるかもしれません。

作品が人に選ばれる場面は、家族にとっても誇らしいものです。心配していた人ほど、いちばん喜んでくれることもあります。

届いている姿は、
どんな説得よりも伝わる。

7ARTSで、一緒にできること

明るいリビングの壁に飾られた色あざやかな作品を、並んで眺める二人の後ろ姿
作品の行き先を、家族と一緒に見る(イメージ)

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSはまだ答えを持っていません。家族の気持ちや、家族との話し合いに、7ARTSが答えを出すことはできないからです。

そのうえで、作家が今日からできることがあります。家族に「続ける理由」を説明するより、作品の話をすることです。なぜ描いたのか、誰に見てほしいのか。

作品が見てもらえている場所があるなら、そこを家族と一緒に見るのも一つの方法です。7arts.jpの作家ごとのページを開いて、載せている作品を見てもらうこともできます。

家族に見せる作品は、多くなくてかまいません。いちばん自信のある1点が、誰かの目に触れている。その事実だけで、話のきっかけになります。

家族の心配が、暮らしのお金や生活の計画にあることもあります。そのときは、ファイナンシャルプランナーなど、お金の専門家に相談してください。計画を形にして見せることが、安心につながる場合もあります。

続けるかどうかを決めるのは、あなたです。その覚悟を、作品が届く姿で示していきましょう。

決めるのはあなた。
示すのは作品の行き先。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。いちばん好きな作品を1点選ぶ、なぜ描いたかを家族に話す、作品が見てもらえる場所を一緒に見る
今日、作家がやること

今日、いちばん気に入っている作品を1点選んでみてください。

次に、その作品を家族に見せて、「なぜこれを描いたのか」を話してみてください。続ける理由を説明するのではなく、作品の話をするのです。

最後に、その作品が見てもらえる場所を、家族と一緒に見てください。自分のページでも、飾ってある店でもかまいません。

うまく話せなくても大丈夫です。作品を前にして話せば、言葉が足りない分は作品が補ってくれます。

家族が作品の行き先を知ったとき、一言の意味は少しずつ変わります。作品の話をした日から、家族はあなたの最初の理解者に近づきます。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 芸術家の働き方:公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)「芸術家のセーフティネットの構築に関する調査研究報告書」(2026年3月)