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作家の悩み百選 No.028

世界観を、言葉にできない

「自分の世界観を言葉で説明するのが苦手」。買う人が知りたい言葉は何かを、数字と外から見てきた感覚で確かめます。

明るいアトリエの木の机で、描き上げた作品の横にノートを開いて言葉を書く手元

こんな悩みはありませんか

「自分の世界観を言葉で説明するのが苦手」

展示の会場で「この作品のテーマは何ですか」と聞かれ、言葉に詰まる。家に帰ってから、言いたかったことが浮かんでくる。

プロフィールや作品の説明を書こうとしても、手が止まる。描くことはできるのに、語る場面になると急に自信がなくなる。

作家の方からも、この悩みはとてもよく聞きます。色や形で考える人にとって、言葉はまったく別の道具だからです。

けれど、黙ったままでいると、作品の前で立ち止まった人は、何を感じればいいのか迷ってしまいます。せっかくの出会いが、そこで終わってしまうこともあります。

ここで、ひとつ考えてみてください。言葉がないとき、作品の前に立った人は、何を手がかりにすればいいのでしょうか。

描ける人ほど、
語るときに迷う。

あなたは、作品のことを聞かれたとき、何と答えていますか。

言葉がないままだと、どうなるか

これまで、作品を言葉で伝えてきたのは、ギャラリーや画商でした。作家の代わりに、作品の魅力をお客さんに語ってきたのです。

ただ、作家の代わりに語ってくれる人に出会える作家は、多くありません。

語り手がいないまま展示に並んだ作品は、見る人の前で黙ったままです。

地方で制作している作家ほど、作品を語ってくれる人に出会う機会は限られます。

作家の言葉が、売上にどれほど関わるのか。調べましたが、全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

それでも、語る人がいない場所では、作品は黙って並ぶだけになります。気になった人も、作家のことが分からないまま通り過ぎてしまいます。

説明のない作品の前で、見る人は自分なりに想像するしかありません。それも楽しみの一つですが、手がかりがなければ、多くの人は次の作品へ移っていきます。

せっかく足を止めてくれた人を、言葉がないせいで帰してしまう。それは、作品にとっても、見る人にとっても惜しいことです。

語る人がいなければ、
作品は黙ったまま。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい白いギャラリーで、色あざやかな風景の作品の前に立つ人の後ろ姿
作品の前で、心が動いた瞬間(イメージ)

わたしはアート業界の人間ではありません。50歳を過ぎて初めてアートを買いました。本物の作品の前に立ち、一目惚れで買うと決めたのです。

そのとき、難しい解説を読んで決めたわけではありません。実物を見て、原画の力に心をつかまれたのです。

あとになって、なぜ買ったのかを何度も自分に問いかけました。50歳を過ぎるまでアートに出会わなかったのは、もったいない人生だったと思います。

心が動いた人が次に知りたくなるのは、立派な説明ではないのかもしれません。作家がどんな思いで描いたのか、その素直な理由です。

何を思って、この色を選んだのか。どんな景色を見て、この形にしたのか。その答えを知ったとき、作品は自分にとって特別な1点に変わります。

アパレルは、服だけを並べて売ってはいません。モデルが着た姿を見せ、着てみたいと思わせます。作品にも、見る人のことを考えた見せ方と言葉が要るのではないでしょうか。

知りたいのは、
上手な説明より描いた理由。

答え合わせ:確かめられたこと、まだのこと

この感覚を、数字で確かめようとしました。

けれど、作品に添えた言葉が、買う人の決め手にどれくらい効くのか。それを確かめられる全国の調査には、たどり着けませんでした。

買う人の多くは、作家の経歴や理論で選んでいるのではありません。自分の暮らしに合うか、心が動くかで決めています。

「上手な説明より、心が動くかどうか」という感覚は、今回は確かめられませんでした。ただ、心が動いたあとに背中を押す言葉が要ることは、展示の会場で何度も見てきた場面です。

言葉は、作品の代わりではありません。作品の前で心が動いた人に、もう一歩近づいてもらうための橋です。

言葉が整うと、作品の前で迷っている人に、一歩近づいてもらえます。「この色は、子どものころに見た夕焼けの色です」。そんな一文が、見る人の記憶と作品をつなぎます。

理由の一文を、作品ごとに増やしていく。それがいつのまにか、あなたの世界観の説明になっていきます。

言葉は一文ずつ、
積み上げればいい。

7ARTSで、一緒にできること

明るいカフェの白い壁に飾られた色あざやかな作品と、木の棚に置かれた小さな白いカード
作品に、短い言葉を添える(イメージ)

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSが答えられるのは一部です。あなたの世界観を、7ARTSが代わりに言葉にすることはできません。

言葉の芯は、描いた本人にしか書けないからです。そのうえで、言葉を届ける場所と、言葉が少なくても伝わる見せ方を、一緒に整えられます。

7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品と一緒にプロフィールや思いを載せておけば、見た人がそのまま購入やオファーを申し込めます。

ページに載る言葉は、展示の会場と違い、あなたがいない時間にも読まれます。会場で言葉に詰まっても、書いた一文は落ち着いて何度でも直せます。

作品を部屋やお店に飾った姿を見せる仕組みもあります。言葉が少なくても、飾った姿が作品を語ります(解決策1 飾ってみて)。

サイトは5か国語で表示できます。日本で制作を続けながら、海外の人にも作品を見てもらえます(解決策2 外国語表示)。

ただ、場所があっても、言葉を書くのはあなたです。完璧な文章でなくてかまいません。描いた理由を、作品ごとに一文ずつ足していきましょう。

飾った姿が語り、
あなたの一文が背中を押す。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。最近の作品を1点選ぶ、なぜ描いたかを一文で書く、その一文を作品の説明の最初に置く
今日、作家がやること

最近描いた作品を1点選んでみてください。いちばん思い入れのある作品でかまいません。

次に、「なぜこれを描いたのか」を一文だけ書いてみてください。見た景色、そのときの気持ち、使った色の理由。上手に書こうとしなくて大丈夫です。

最後に、その一文を作品の説明の最初の一行に置いてください。一文が置かれた日から、作品は語り始めます。

言葉が苦手でも、理由なら書けるはずです。来週はもう1点、同じように一文を足してみてください。

書いた一文は、展示の会場で聞かれたときの答えにもなります。口で話すのが苦手でも、書いた言葉を読み上げれば十分です。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 作家の数:文化庁資料(2020年)/ギャラリー・画商などの数:文化庁「The Japanese Art Market 2025」(2024年時点・骨董店なども含む)
  • ギャラリーの場所(66%が関東・うち59%が東京):文化庁「The Japanese Art Market 2024/2025」
  • 買った理由:「日本のアート産業に関する市場調査2021」一般社団法人アート東京・一般社団法人芸術と創造(文化庁委託事業)