
こんな悩みはありませんか
「他の作家と比べて落ち込んでしまう」
同じ頃に描き始めた作家が、展示に呼ばれた。画面の向こうでは、知らない作家の作品に、たくさんの反応がついている。
そのたびに、筆を持つ手が止まる。自分には何が足りないのだろうと、夜まで考えてしまう。
ここで、ひとつ考えてみてください。比べているのは、作品そのものですか。それとも、見てもらえた数ですか。
画面に映るのは、ほかの作家のいちばん良い瞬間だけです。その裏の苦労や、売れなかった日々は見えません。
比べる気持ちは、誰にでもあります。真剣に作品と向き合っている人ほど、ほかの作家の動きが気になるものです。
そして、比べたあとに残るのは、描けなかった時間だけということもあります。
見えているのは、
ほかの人の晴れの日だけ。
あなたは、何と比べて落ち込んでいるのか、言葉にできますか。
比べ続けると、どうなるか
比べる相手は、どこにいるのでしょうか。まず、画面の向こうを見てみます。
総務省の調査で、インターネットを使う人のうちSNSを使っている人は81.9%でした。作家も、見る人も、ほとんどが同じ画面の中にいます。
画面を開けば、ほかの作家の新作や反応の数が、次々と目に入ります。比べる材料は、毎日いくらでも届くのです。
SNSの反応の数も、作品の良し悪しだけでは決まりません。投稿の時間や、見る人の数の多さにも左右されます。
比べる相手の数は、SNSを開くたびに増えていきます。
比べて落ち込む日が続くと、描く時間が減っていきます。描く時間が減れば、作品の数も減り、見てもらう機会もさらに遠のきます。
比べることが悪いのではありません。ただ、落ち込んだまま手が止まると、いちばん大切な制作が後回しになります。
比べるほど、自分の作品の良い所が見えなくなります。ほかの人の色ばかりを追いかけて、自分の色を見失うこともあります。
落ち込む時間は、
描く時間を少しずつ削る。
外から見てきた、わたしの感覚

わたしはアート業界の外から来た人間です。外から見ていて、感じてきたことがあります。
売れている作家は、ひと握りです。けれど、それは作品の差だけで決まっているのでしょうか。
わたしの感覚では、ひと握りの市場の中でしか売っていないから、売れる作家もひと握りになっています。広い市場で売れば、活躍できる作家はもっと増えるはずです。
実際に、売れていない作家の中にも、本当に素敵な作品を描く人はたくさんいます。その作品が、まだ新しい市場に届いていないだけです。
広い市場では、作家ごとに好きになってくれる人が違います。ひと握りの市場の中で、同じ人を取り合う必要はないのです。
わたしが見てきた限り、作品の力と売れ方は、いつも同じとは限りません。
わたし自身、初めて作品を買ったとき、心を動かしたのは目の前の原画の力でした。それまで、アートにそれほど興味もなかったのにです。
名前や評判を知らない人の心も、作品は動かせます。比べる相手より先に、まだ出会っていない人のことを思い浮かべてほしいのです。
比べて落ち込むのは、作家が本気だからだと思います。その本気を、比べる時間ではなく、届ける工夫に向けてほしいのです。
差は作品よりも、
届いている市場の広さかもしれない。
数字で答え合わせ:作家は、誇りを持って続けている
この感覚を、数字で確かめます。
芸団協が2025年に、芸術家へ聞いた調査があります。
「仕事に誇りを持っている」と答えた人は、95.8%でした。
比べて落ち込む日があっても、ほとんどの作家は、自分の仕事を誇りに思いながら続けています。あなたが比べている相手も、同じように迷いながら描いているのかもしれません。
まだ作品に出会っていない人の中には、あなたの作品にだけ心を動かす人がいるかもしれません。その人にとって、ほかの作家との比べっこは関係のない話です。
あなたの作品を好きになる人は、ほかの作家の作品を好きな人とは、別の人かもしれません。
「比べるより、まだ出会っていない人のほうを向けばいい」という感覚は、一部当たりです。作家の多くが誇りを持って続けていることは、数字で確かめられました。ただ、作品の差がどれだけあるかは、数字では測れません。
比べる相手を画面の中から外し、まだ出会っていない人のほうを向く。そうすると、落ち込む理由は少しずつ小さくなっていきます。
作品は、誰かと勝ち負けを競うものではありません。見た人の心に届くかどうかで、それぞれの価値が決まっていきます。
昨日の自分の作品と、今日の作品を比べる。その比べ方なら、描くほど前に進めます。
比べる相手は、
昨日の自分でいい。
7ARTSで、一緒にできること

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSはまだ答えを持っていません。
比べて落ち込む気持ちは、とても個人的なものです。7ARTSの仕組みで、その気持ちを消すことはできません。
そのうえで、今日からできることがあります。SNSを見る時間を、1日のうちで決めてしまうことです。比べる材料が目に入る回数が減るだけで、心は少し軽くなります。
もう1つは、自分の作品を年ごとに並べてみることです。1年前と比べれば、あなたが進んできた道が見えてきます。
作品の写真を年ごとにまとめておくと、あとで見返すときにも役立ちます。
比べる気持ちが湧いたら、それだけ本気で作品に向き合っている証だと受け止めてみてください。
落ち込みが長く続き、眠れない日や描けない日が重なるときは、一人で抱え込まないでください。医師やカウンセラーなど、専門家に相談することも大切です。
気持ちは消せなくても、
向き合い方は変えられる。
今日、ひとつだけやってみてください

最近、比べて落ち込んだ場面を1つ書き出してみてください。誰の、どんな姿を見たときだったか。
次に、1年前に描いた作品と、今の作品を並べてみます。線や色、構図。前より良くなった所を1つ見つけてください。
最後に、あなたの作品を見てほしい人を1人だけ決めます。比べる相手より、届けたい相手を思い浮かべた日から、筆は軽くなります。
書き出した場面は、自分を責めるためのものではありません。何に心が揺れるのかを知るだけで、次からは少し落ち着いて向き合えます。
作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する
出典
- SNSの利用:総務省「令和6年通信利用動向調査の結果」(2025年5月)
- 芸術家の働き方:公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)「芸術家のセーフティネットの構築に関する調査研究報告書」(2026年3月)



