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作家の悩み百選 No.020

売れたのに、お金が残らない

「作品を売っても手元にほとんどお金が残らない」。円安と市場の数字を見て、費用の数え方と売り先の広げ方を考えます。

明るい木の机の上で、売れた作品を梱包する作家の手元

こんな悩みはありませんか

「作品を売っても手元にほとんどお金が残らない」

やっと作品が売れた。けれど、画材や額、会場代、送料を差し引くと、手元にはわずかしか残らない。

売れたうれしさより、計算したあとのため息のほうが大きい。そんな経験をした方も、いるのではないでしょうか。

ここで、ひとつ考えてみてください。その作品1点に、いくらかかったかを数えたことはありますか。

かかったお金が分からないまま値段を決めると、売れるほど苦しくなることもあります。

値段を上げれば売れなくなりそうで、上げられない。そのうちに、作品を作るほどお金が減っていくように感じてしまう。

値段を決めるのは苦手という方も、多いと思います。けれど、費用を知らないままでは、苦手を越える手がかりもありません。

かかったお金を知らずに、
値段は決められない。

あなたは、最後に売れた作品の費用を、すぐに言えますか。

このままだと、どうなるか

費用の重さを、数字で見てみます。仕事を受けるフリーランスへの国の調査です。作家に限った数字ではありません。

フリーランスの取引であったことのグラフ。報酬を十分に話し合わずに決められた67.1%など

材料などの値上がり分を、報酬に一部しか、または全く上乗せできなかった人は62.5%でした。同じ値段で仕事を続けても、手元に残るお金は減っていきます。

費用の中には、画材のように目に見えるものと、会場代や送料のように後から気づくものがあります。後から気づく費用ほど、値段に入れ忘れやすいのです。

そのうえで、市場の大きさも見ておきます。日本のアート市場は、2023年に946億円でした。前の年より10%減っています。減ったのは、主に高額の作品です。

高い値段で売って費用をまかなう形は、これから難しくなるかもしれません。

では、作家の手元に、売上の何%が残っているのか。調べましたが、全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

それでも、値上がりを値段に入れられず、高額の作品が減る流れは見えています。このままでは、作り続ける力が少しずつ削られていきます。

材料費を下げようとして、作品の質を落としては本末転倒です。だからこそ、費用を知り、値段と売り先で整える必要があります。

1点ごとの費用が分からなければ、どの作品が赤字だったのかも分かりません。

材料は上がり、
高額の作品は減っている。

外から見てきた、わたしの感覚

明るいアトリエの木の机に、絵の具や筆と描き上げた作品が並んでいる
1点の作品には、たくさんの材料がかかっている(イメージ)

わたしはアート業界の外から来た人間です。それでも、お金の流れについては、外から見て感じることがあります。

これから日本は、円安に向かうと見ています。円安になれば、物が売れても利益が上がっていきません。

だからこそ、外に目を向けるべきだと考えています。日本の中だけで売るのではなく、世界にも作品を届けるのです。

ただ、作家が海外へ出ていくのは、とても大変です。お金も時間もかかり、危険も伴います。

日本にいながら、海外の人に作品を売る。作家は日本で制作に専念し、売り先は世界に広げる。そんな形をつくりたいと考えてきました。

実際に、海外の方からの注文が届きました。日本にいながら世界に売る形は、夢ではないと感じています。

もう1つ伝えたいことがあります。本当にアートで生きていきたいなら、作家自身が本気にならないといけません。お金の流れに目を向けることも、その一つです。

日本で作り、
世界に届ける。

数字で答え合わせ:海の向こうにも、買う人がいる

「売り先は、国の外にも広げられる」という感覚を、数字で確かめます。

経済産業省の調査に、海の向こうの買い物の数字があります。

中国の消費者が日本の事業者からネットで買った金額は、2024年に2兆6,372億円でした。前の年より8.5%増えています。

海の向こうから、日本の物をネットで買う人は増えています。国内で高額の作品が減っても、売り先は外にも開かれているのです。

「売り先は国の外にも広げられる」という感覚は、一部当たりです。海外から日本の物を買う人が増えていることは、数字で確かめられました。ただ、その中で作品がどれだけ買われているかは分かりませんでした。

費用を知り、根拠のある値段を付ける。そして、国内のまだ出会っていない人や海外にも、売り先を広げる。そうすれば、1点に頼らず、手元に残るお金を積み上げていけます。

たとえば、同じ費用で作った作品が、国内だけでなく海外からも選ばれる。売り先が増えれば、1点ごとの値段に無理をかけずに済みます。

費用を書き出した表は、次の作品を作るときの見積もりにもなります。

値段に根拠があれば、買う人も安心して決められます。作家にとっても、買う人にとっても、うれしい形です。

値段の理由を言葉にできれば、値切られたときにも落ち着いて答えられます。数字を知ることは、作品を守ることでもあります。

費用を数えることは、
作品を守ること。

7ARTSで、一緒にできること

明るい海外の家のリビングの白い壁に、日本の作家の色彩豊かな作品が飾られている
日本で描いた作品が、海外の暮らしに届く(イメージ)

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSが答えられるのは一部です。

7ARTSのサイトには、作品の値段の目安を出す道具があります。かかった費用と並べれば、値段を考える材料になります。

値段の目安は、考える材料の1つです。最後の値段は、費用と作品への思いを合わせて、作家が決めます。

サイトは5か国語で表示できます。日本で制作を続けながら、海外の人にも作品を見てもらえます(解決策2 外国語表示)。

海外の人に作品を見てもらうことは、売り先を1つ増やすことでもあります。

サイトは、日本にいながら、海外の人にも作品を見てもらう入口になります。

ただ、作家一人ひとりの経費や、お金の管理までは見られません。税金や経費の扱いは、税理士など専門家に相談してください。

費用を数えるのは、作家自身です。その数字をもとに、値段と売り先を一緒に考えていきましょう。

数えるのはあなた。
売り先は、一緒に広げる。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。最後に売れた1点の費用を書き出す、売れた値段から引いて残りを出す、次の値段を目安と並べて考える
今日、作家がやること

最後に売れた作品1点について、かかった費用を書き出してみてください。画材、額、会場代、送料、梱包材。思い出せる分でかまいません。

次に、その合計を売れた値段から引いてみます。手元に残った金額を、制作にかかった日数で割ってみてください。

最後に、次の作品の値段を、値段の目安を出す道具と並べて考えます。費用が見えれば、値段に根拠が生まれます。

税金や経費の扱いは、ここでは決めずに、専門家に確かめてから決めてください。

書き出した費用は、捨てずに残しておいてください。2点目、3点目と重ねるほど、あなただけの値段の物差しになります。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • フリーランスの取引:公正取引委員会・厚生労働省「フリーランス取引の状況についての実態調査(法施行前の状況調査)結果 概要」(2024年10月)
  • 日本のアート市場:文化庁「The Japanese Art Market 2024」(Arts Economics・Clare McAndrew)
  • ネット販売:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月)