
こんな経験はありませんか
「依頼を受けても値切られる・タダでやってと言われる」
「宣伝になるから」「少しでいいから」「お友達価格で」。そう言われると、断るのは気が引けるものです。
断れないまま引き受けて、描き終えたあとに、かけた時間と材料の重さだけが残る。次に同じ人から頼まれたとき、また同じ値段になる。
「今回だけ」と言われた依頼が、気づけば何度も続いている。依頼してくれたこと自体はうれしいからこそ、値段の話を切り出すのが苦しい。
相手に悪気がないことも多いぶん、余計に断りにくい。関係を壊したくなくて、つい「いいですよ」と答えてしまう。
ここで、ひとつ考えてみてください。値切られるのは、作品の力が足りないからでしょうか。値段の根拠が見えていないからでしょうか。
頼む側が悪いとは限りません。作品に値段がつく理由を、知らないだけのことも多いのです。
根拠の見えない値段は、
下げられやすい。
あなたは、断れずに引き受けた依頼を、いくつ思い出せますか。
断れないまま続けると、どうなるか
調べたことを、先にお伝えします。作家がどれだけ値切られ、無償の依頼がどれだけあるか。全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。
そのかわり、仕事を受けるフリーランスへの国の調査があります。作家に限った数字ではありません。

報酬を減らされたことがある人は28.1%。報酬の額を十分に話し合わずに決められた人は、67.1%にのぼります。
値上がり分を上乗せできないまま、安い依頼を引き受け続ければ、手元に残るお金は減っていきます。描けば描くほど、続ける力が削られていく形です。
そして、一度安く引き受けた値段は、次の依頼の基準になります。紹介された人も、その値段を前提に声をかけてきます。
値切られることに慣れてしまうと、自分の作品の値段を、自分でも低く見積もるようになります。
断ることは、相手を嫌うことではありません。続けるために、引き受けられる形を選ぶことです。
安い依頼で予定が埋まると、自分の作品に向かう時間もなくなります。断れなかった1件が、次の作品の時間まで奪っていくのです。
安さは、
紹介と一緒に広がる。
外から見てきた、わたしの感覚

わたしは、50歳を過ぎて初めてアートを買いました。心を決めたのは、実物の前で感じた原画の力でした。
作品には、それだけの力があります。売れていない作家の中にも、本当に素敵な作品を描く人はたくさんいる。外から見てきて、わたしはそう感じています。
その力を持つ作品が、「タダで」と頼まれる。作家の方からその話を聞くたびに、もったいないと思います。
わたしが大切にしているのは、誰も嫌な思いをしない形です。頼む人も、作家も、作品を受け取る人も、みんなが喜べる値段であってほしい。
作家だけが我慢する値段は、長くは続きません。続かなければ、頼む人も、次の作品に出会えなくなります。
値段を伝えることは、相手を困らせることではありません。作品を大切に扱ってほしいという、作家からのお願いです。
頼む人を責めるのではなく、作家が値段の理由をきちんと伝える。そうすれば、相手も納得して頼めるようになるはずです。
原画の力に、
ふさわしい扱いを。
数字で答え合わせ:作家を応援して買う人もいる
では、作り手を応援したい人は、どれくらいいるのでしょうか。文化庁の調査があります。
この1年に、文化芸術のために寄付をした人は10.9%でした。「したことはないが、今後はしてみたい」人も23.5%います。合わせると、およそ3人に1人です。
文化や作り手を支えたい、という気持ちを持つ人は、思っているより多いのです。
「作品の力にふさわしい扱いを」という思いは、数字で見ると一部当たりです。作り手を応援したい人がいることは確かめられました。ただ、依頼の仕事の値段がどう決まっているかは、この数字では分かりません。
値段の根拠を言葉で示せば、頼む側も納得しやすくなります。その値段で引き受けた仕事は、次の依頼の基準にもなります。
根拠のある値段を続けていれば、その値段で頼みたいという人が集まってきます。値段は、相手を選ぶ目印にもなります。
応援したいと思ってくれる人は、作家が自分の仕事を大切にしている姿にも心を寄せます。値段をきちんと伝えることは、その人たちの気持ちに応えることでもあります。
根拠を示すことが、
作品を守る一歩。
7ARTSで、一緒にできること

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSが答えられるのは一部です。個別の依頼の値段交渉に、7ARTSが立ち会うことはできません。
答えられるのは、値段の根拠をつくる部分です。7ARTSには、値段の目安を出す道具があります。目安があれば、自分の値段を説明するときの手がかりになります。
目安を見せながら話せば、「なぜこの値段なのか」を、自分の感覚だけに頼らずに伝えられます。
7arts.jpの作家ページでは、作品ごとに値段を載せて販売できます。オファーは9種類あり、作家が「受けられる」と選んだものだけが届きます。受けたくない依頼の形は、最初から選ばずにおくこともできます。
依頼の条件で困ったときは、弁護士などの専門家に相談してください。国の委託で設けられた相談窓口「フリーランス・トラブル110番」もあります。
契約の内容や支払いの約束は、できるだけ文字で残しておくと安心です。口約束のまま始めないことが、自分を守る最初の備えになります。
値段の根拠は道具で、
断る勇気はあなたから。
今日、ひとつだけやってみてください

これまでに受けた依頼を、種類ごとに書き出してください。似顔絵、ロゴ、お店の壁の絵、挿し絵など。
次に、それぞれの依頼について、引き受けられる値段を決めます。かかる時間と材料を思い出し、値段の目安とも見比べてください。
最後に、それを1枚の値段表にまとめます。表が手元にあれば、値切られても、その場で答えを変えずにすみます。
最初から細かく作り込む必要はありません。大きさや手間ごとに、3段くらいに分けるだけでも十分です。
値段表は、頼む人への説明にもなります。「この値段の理由はこうです」と見せられれば、話し合いは穏やかに進みやすくなります。
作った表は、依頼が来るたびに見直して、少しずつ育てていってください。
作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する
出典
- フリーランスの取引:公正取引委員会・厚生労働省「フリーランス取引の状況についての実態調査(法施行前の状況調査)結果 概要」(2024年10月)
- 鑑賞の状況:文化庁「文化に関する世論調査」報告書(2024年3月・全国18歳以上24,996人)



