
こんな悩みはありませんか
「原画以外(グッズ・プリント・ライセンス)での稼ぎ方が分からない」
原画は、世界に1点だけです。売れたら、その作品は持ち主のもとへ旅立ち、作家の手元からは離れます。
展示の会場で「この絵、好きです。でも原画は手が出なくて」と言われる。うれしいのに、その気持ちに応える形が手元にない。
グッズやプリントを考えてみても、何から手をつければいいのか分からない。印刷の色や、使い方の約束も気になって、話が前に進まない。
ここで、ひとつ考えてみてください。作品を好きになってくれた人のうち、原画を持ち帰れるのは何人でしょうか。
1点の原画を手にできるのは、1人だけです。好きになってくれた人が10人いても、残りの9人の気持ちは、形にならないまま終わってしまいます。
好きの気持ちに、
行き場がない。
あなたは、原画を買えなかった人の「好き」を、そのままにしていませんか。
原画だけに頼ると、どうなるか
まず、市場の動きを見てみます。日本のアート市場は、2023年に946億円でした。前の年から10%減っています。
減ったのは、主に高額の作品です。高い原画が1点売れるかどうかで、その年の売上が決まる。そんな売り方は、市場が揺れたときに影響を受けやすくなります。
一方で、作品を好きになってくれる人は、いつも高額の作品を買える人とは限りません。
原画が売れるまでの間、好きになってくれた人との接点は、展示の会期だけになりがちです。
原画しか届け方が無いと、作品への入口は原画の値段だけになります。初めての1点に、いきなり原画を選べる人ばかりではありません。
作品を好きになった人が、手の届く形を見つけられないまま帰っていく。その人の心に残った作品の記憶も、時間とともに薄れていきます。
高額の1点に頼るほど、売れない年の不安も大きくなります。届け方の幅は、そのまま暮らしの安定にもつながります。
届け方が1つしかないままでは、せっかく心が動いた人とも、そこで縁が切れてしまいます。
入口が原画だけだと、
好きな人を帰してしまう。
よく聞く場面と、わたしの感覚

作家の方からよく聞く場面があります。展示の最終日、何度も足を運んでくれた人が「いつか原画を買えるようになりたい」と言って帰っていく。
その人に、今日持ち帰ってもらえる形があれば、縁はそこで終わらなかったかもしれません。
わたしはアート業界の外から来た人間です。そのうえで感じているのは、一般の人にも、欲しいと思えば買えるお金はあるということです。とても高い作品は無理でも、手の届く値段なら買える人はたくさんいます。
原画以外の形は、その人たちとの最初の出会いになりえます。部屋に飾られた1枚が毎日目に入り、やがて「次は原画を」と思う日が来るかもしれません。
ただし、ここには注意も要ります。原画以外の形にするなら、印刷の品質や、作品の使い方の約束を先に決めておく必要があります。
作家の方の中には、グッズにすると作品が軽く見られるのではと、ためらう人もいます。その気持ちも、もっともです。
原画の価値を下げてしまっては、意味がありません。原画を大切にしながら、届く人を増やす。その順番を守ることが大切です。
小さな1枚が、
原画への入口になる。
数字で答え合わせ:手ごろな物は、個人からも買われている
この感覚を、数字で確かめます。手ごろな物を、個人から買う人がどれだけいるかを見てみます。
経済産業省の調査に、フリマのような個人どうしのネットの売り買いの数字があります。
2024年は2兆5,269億円で、前の年より1.82%増えています。
手ごろな値段の物を、作り手や持ち主から直接買う。そんな買い方は、すでに多くの人の暮らしに入っています。
「手の届く形なら買える人がいる」という感覚は、一部当たりです。手ごろな物を個人から買う人が大勢いることは、数字で確かめられました。ただ、作品のグッズやプリントがどれだけ売れているかを示す全国の調査は、見つかりませんでした。
たとえば、部屋に飾る人には小さなプリントを、贈りたい人にはカードを。理由ごとに考えると、届け方の選択肢が見えてきます。
理由に合わせた形があれば、原画を買えなかった人にも、作品は届きます。届いた人が作品を毎日使い、贈られた人が作家の名前を知る。そうして、作品を知る人の輪が少しずつ広がっていきます。
理由が違えば、
届く形も違っていい。
7ARTSで、一緒にできること

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSはまだ答えを持っていません。原画以外の形で作品を届ける方法について、今の7ARTSでお伝えできる仕組みはありません。
そのうえで、作家が今日からできることがあります。これまでに原画以外の形を望まれた作品を、書き出しておくことです。どの作品なら別の形で求められそうか、候補が見えてきます。
別の形をつくる前には、決めておくべきことがあります。印刷の色が原画とどれだけ違うか。作品の使い方をどこまで認めるか。誰と、どんな約束で作るか。
作品の使い方の約束や契約、著作権のことは、弁護士などの専門家に相談してから決めてください。売上の扱いや税金のことは、税理士への相談が安心です。
まずは身近な人に、この作品がどんな形なら欲しいかを聞いてみるのも一つです。声を集めるだけなら、約束を決める前でもできます。
急いで形にして、あとから困るのは作家自身です。約束を先に固めておくことが、作品と、作品を好きになってくれた人の両方を守ります。
原画を守ることが、
次の形を生かす。
今日、ひとつだけやってみてください

これまでの展示や問い合わせを振り返ってください。「好きだけど原画は手が出ない」と言われた作品を書き出します。
書き出した作品が少なくても、気にしなくてかまいません。1点でも候補があれば、そこから考え始められます。
次に、その作品が、飾る・使う・贈るのどの理由に合いそうかを考えます。1つの作品に、いくつ当てはまってもかまいません。
最後に、形にする前に専門家に確かめたいことを、箇条書きにしておきます。候補と質問がそろえば、次の一歩を落ち着いて選べます。
書いた質問は、相談の場にそのまま持っていけます。
急いで形にする必要はありません。原画の価値を守りながら、好きになってくれた人に届く道を、1つずつ考えていきましょう。
作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する
出典
- 日本のアート市場:文化庁「The Japanese Art Market 2024」(Arts Economics・Clare McAndrew)
- ネット販売:経済産業省「令和6年度電子商取引に関する市場調査」(2025年8月)



