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作家の悩み百選 No.004

収入の波に、振り回されない

「収入が月によってバラバラで計画が立てられない」。売上の波の正体を、数字と外から見てきた感覚で確かめます。

朝の光が入るアトリエの机に、売上を書いたノートと描き上げた作品が並ぶ

こんな悩みはありませんか

「収入が月によってバラバラで計画が立てられない」

展示があった月は、作品が何点か売れる。何もない月は、通帳の数字がほとんど動かない。

来月いくら入るか分からないので、大きな作品に手をつけるのをためらう。画材を買う日も、先へ先へと延ばしてしまう。

売れた月は少しほっとして、売れない月は次の展示の予定を数える。画材店でも、値札を見て棚に戻す。そんな小さな我慢が、月ごとに積み重なっていきます。

作家の方からも、この波の話はよく聞きます。収入が読めないと、暮らしだけでなく、制作の計画まで揺れるからです。

ここで、ひとつ考えてみてください。売れた月と売れなかった月は、何が違ったのでしょうか。

通帳の波は、
やがて心の波になる。

波そのものは、作品の良し悪しとは別の所から来ているかもしれません。あなたは、自分の収入の波がどこから来ているか、説明できますか。

波を放っておくと、どうなるか

調べたことを、先にお伝えします。作家の収入が月ごとにどれだけ揺れるかを調べた、全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

そのかわり、芸術家などに「活動を続ける上での課題」を聞いた調査があります。

活動を続ける上での課題のグラフ。仕事が不定期で不安定61.3%、老後の年金が十分でない49.0%など

いちばん多かったのは、「仕事が不定期で不安定で、それをならす仕組みがない」の61.3%でした。

そのあとにも、中止になったときの保険がない、老後の年金が十分でない、と続きます。どれも、この先のお金が読めないという悩みです。

2025年に芸術家などへ聞いた別の調査もあります。仕事や収入の変動が大きく、補償のない不安定な立場だと痛感している人は、おおよそ3人に1人でした。

売れない月が続いても、材料の支払いは毎月やってきます。この形が続くと、制作より先に心が疲れてしまいます。

材料を控えれば、作品の大きさや描き込みにも響きます。収入の波が、いつのまにか作品そのものの波になってしまうのです。

入るお金は読めず、
出るお金は毎月来る。

外から見てきた、わたしの感覚

明るい展示室で、壁の作品の前に立ち止まる人の後ろ姿
作品が人と出会う、その日(イメージ)

わたしはアート業界の人間ではありません。50歳を過ぎて初めて、アートを買いました。

それまで、アートにそれほど興味はありませんでした。実物の作品の前に立ったとき、心をつかまれ、一目惚れで買うと決めました。もともと、アートを買う予定などなかったのにです。

あとから考えて、気づいたことがあります。作品は、人と出会った日に売れる。わたしの場合も、出会いがなければ買うことはありませんでした。

そう考えると、作家の収入の波は、作品が人と出会えた回数の波ではないでしょうか。展示がある月だけ売れるのは、その月だけ出会いがあるからです。

ただ、一般の人がアートに出会う場所は、とても少ないと感じています。作家の友達がいるか、アートの世界にいる人でなければ、作品に触れる機会がほとんどありません。

ギャラリーや画商が悪いわけではありません。展示の会期という区切りがある以上、出会いがその期間に集まるのは自然なことです。

出会いの場が月に1回なら、売上も月に1回の山になります。出会いの場が毎日あれば、山と谷の差は少しずつ縮まっていくはずです。

売上の波は、
出会いの波でもある。

数字で答え合わせ:出会いの場は、減っている

この感覚が当たっているか、数字で確かめます。文化庁の調査で、この1年に文化芸術を外へ出て見た人は45.3%でした。前の年の52.2%から減っています。

展示や公演に足を運ぶ人は、全体の半分に届きません。会期のある場所だけで出会いを待っていると、出会いの数そのものが限られてしまいます。

「作品は、人と出会った日に売れる。だから出会いの場が少ないと波が大きくなる」という感覚は、一部当たりです。出かけて見る人が少ないことは、数字で確かめられました。ただ、出会いの数と売上の波の関係そのものを調べた数字はありません。

どちらにしても、まず作品に出会えることが出発点です。展示の会期だけでなく、いつでも作品が見られる場所があれば、出会いは月の予定に縛られません。

たとえば、展示のない月にも、自分のページから1点売れる。お店に飾った作品に、問い合わせが届く。そうした月が1つ増えるたびに、谷は浅くなっていきます。

出会いが毎月あれば、売上の山と谷はなだらかになっていきます。来月の見込みが少し読めるだけで、大きな作品に手をつける勇気も、画材を買う決心も生まれます。

出会いの場が増えると、
来月が読めるようになる。

7ARTSで、一緒にできること

明るいカフェの白い壁に飾られた作品と、窓ぎわの席でくつろぐ人の後ろ姿
展示のない月も、作品はどこかで見られている(イメージ)

先に、正直にお伝えします。この悩みに、7ARTSが答えられるのは一部です。収入を毎月そろえる約束は、7ARTSにはできません。

答えられるのは、出会いの回数を増やす部分です。7arts.jpには作家ごとのページがあり、作品を載せておけば、展示のない月も見てもらえます。サイトからは、購入やオファーが届きます。

オファーは9種類あり、作家が「受けられる」と選んだものだけが届きます。作品の購入のほかにも、売上の入口がいくつか用意されています。

サイトは5か国語で表示できます。海外の人との出会いも、月の予定に関係なく生まれます(解決策2 外国語表示)。

展示の会期が終わったあとも、作品をページに残しておく。それだけで、会場で出会えなかった人にも、もう一度見てもらう機会が生まれます。

一方で、収入の計画そのものを立てる道具は、まだ持っていません。お金の計画や税金のことは、税理士などの専門家に相談してください。

出会いの場所は、一緒に増やしていけます。その場所にどの作品を並べ、どんな言葉を添えるか。そこを考えるのは、作家自身です。

波をならす場所は、
一緒につくれる。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。12か月の売上を月ごとに書く、売れた月の出来事を添える、出会いを毎月に近づける
今日、作家がやること

過去12か月の作品の売上を、月ごとに書き出してみてください。金額は、ざっくりでかまいません。

次に、売れた月の横に、その月にあった出来事を1行ずつ添えてください。展示、紹介、知り合いの来訪。売上の山には、たいてい出会いがあります。

最後に、その出会いを毎月に近づける方法を1つ決めます。山の理由が分かれば、次の山は自分でつくれます。

波を消すことはできなくても、波の理由を知ることはできます。理由が分かった日から、来月の計画は少しずつ立てやすくなります。

書き出した表は、捨てずに取っておいてください。半年後にもう一度書いて見比べると、出会いを増やした分だけ、谷の形が変わっているはずです。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 活動を続ける上での課題:「新型コロナウイルス感染拡大の影響に関するアンケート調査」文化芸術推進フォーラム・日本芸術文化振興会(2021年)
  • 芸術家の働き方:公益社団法人日本芸能実演家団体協議会(芸団協)「芸術家のセーフティネットの構築に関する調査研究報告書」(2026年3月)
  • 鑑賞の状況:文化庁「文化に関する世論調査」報告書(2024年3月・全国18歳以上24,996人)