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作家の悩み百選 No.001

この先、アートだけでやっていけるか

「この先、アートだけでやっていけるか不安」。市場の数字と、外から見てきた感覚で、不安の正体を確かめます。

朝の光が入るアトリエに、描き上げた作品が並んでいる

こんな不安はありませんか

「この先、アートだけでやっていけるか不安」

作ることは好きで、やめるつもりもない。それでも、通帳を開くたびに胸がざわつく。

展示が終わるたびに、次の売上の見通しが立たない。周りの作家は順調そうに見えて、自分だけが取り残されている気がする。

作家の方と話していると、この不安を口にする人は少なくありません。

不安の中身を分けてみると、2つに分かれます。作品の力への不安と、売れる仕組みへの不安です。

このブログで考えたいのは、後ろの方です。作品の力は、あなたにしか磨けません。けれど、仕組みは一緒に考えられます。

不安の正体は、
作品ではなく仕組みかもしれない。

あなたの不安は、作品の不安ですか。それとも、売り方の不安ですか。

1つの売り方だけに頼ると、どうなるか

まず、市場の大きさを見てみます。

日本のアート市場は、2023年に946億円でした。前の年から10%減っています。減ったのは、主に高額の作品です。

次に、作家とギャラリーの数を比べます。美術の作家は、全国に47,320人(2020年)。全国の画廊・ギャラリーは、7ARTSが数えると約4,300か所(2026年10月)です。

作家の数と画廊・ギャラリーの数のグラフ。作家47,320人、画廊・ギャラリー約4,300か所、1か所あたり作家約11人

単純に割ると、画廊・ギャラリー1か所あたり、作家は約11人です。しかも、文化庁の調べでは、美術品を扱う事業者の66%が関東に集まっています。

ギャラリーや画商に取り扱ってもらうことは、今も大きな力です。ただ、作家の全員がその入口を通れるわけではありません。

では、作品だけで生活できている作家は何%なのか。調べましたが、全国の調査は見つかりませんでした。数字が無いので、ここでは作りません。

それでも、限られた入口に大勢が並んでいることは、数字から読み取れます。入口が1つしかなければ、そこが閉じた日に、売上も止まります。

もう1つ、外から見ていて気になることがあります。円安です。2026年3月末には、1ドル160円台になりました。

円安が続くと、絵の具やキャンバス、額などの材料は高くなりがちです。作品が売れても、手元に残るお金が増えにくくなります。

入口が1つなら、
閉じた日に売上も止まる。

外から見てきた、わたしの感覚

白い壁の小さなギャラリーで、作品の前に立つ人の後ろ姿
限られた場所で、限られた人が作品を見ている(イメージ)

わたしはアート業界の人間ではありません。50歳を過ぎて初めてアートを買い、そこから作家の方と関わるようになりました。

外から見ていて、ずっと気になっていたことがあります。

売れている作家は、ひと握りです。それは、ひと握りの市場の中でしか売っていないからではないか。これが、わたしの感覚です。

これまで作品は、ギャラリーや画商が売ってきました。高い値段で売れたのは、そこにお客さんがいたからです。

ただ、その売り方では、お客さんはギャラリーにつき、作家にはつきにくい。取り扱いが終わった途端に、売れなくなる作家もいます。作家が、自分のお客さんを持っていないからです。

不安の根っこは、ここにあるのではないかと感じています。

ギャラリーが悪いわけではありません。作家も、ギャラリーも、作品を買う人も、みんなが喜べる形が一番です。

そのうえで、作家が自分のお客さんを持ち、直接届けられる場所を、もう1つ持っておく。それが、この先の安心につながると考えています。

そして、もう1つ伝えたいことがあります。本当にアートで生きていきたい。作品をいろんな人に届けたい。そう思うなら、作家自身が本気になることが欠かせません。誰かが道をひらいてくれるのを待つだけでは、不安は消えないからです。

今の売り方を壊すのではなく、
新しい売り方を一つ増やす。

数字で答え合わせ:買う人は、まだ外にいる

この感覚が当たっているか、数字で確かめます。

美術品を買ったことがある人は、日本全体で約16%でした。100人のうち84人は、まだ一度も作品を買ったことがありません。

一方で、作品を買った人に、理由を聞いた調査があります。「部屋に飾る」が32%、「気に入って衝動的に」が29%でした。

アートを買った理由のグラフ。部屋に飾る32%、気に入って衝動的に29%、コレクションする15%

特別な収集家だけが買っているのではありません。暮らしの中に好きな作品を置きたい人が、作品と出会って買っています。

「ひと握りの市場で売っている」という感覚は、一部当たりです。今の買い手は、確かに限られています。ただ、出会えば買う人は、その外にまだたくさんいます。

8割以上の人が、まだ手つかずのまま。そこへ作品が届けば、1つの売り先に頼らない形が見えてきます。

売り先が1つから2つ、3つに増えれば、どれか1つが止まっても、作品は誰かに届き続けます。

たとえば、ギャラリーでの展示に加えて、自分のページから作品が売れる。お店の壁に飾った作品に、問い合わせが届く。そんな日が重なれば、次の展示までの不安な時間は、作品に向き合う時間に変わっていきます。

売り先が増えるほど、
不安は小さくなる。

7ARTSで、一緒にできること

明るいホテルのロビーに飾られた作品の前を、人が通り過ぎていく
ふだんの場所が、新しい売り先になる(イメージ)

先に、正直にお伝えします。7ARTSは、作家の暮らしを約束するものではありません。この不安に、7ARTSが答えられるのは一部です。

そのうえで、売り先を増やすための場所を、作家のみなさんと一緒につくっています。

7arts.jpには、作家ごとのページがあります。作品を載せておけば、サイトから購入やオファーが届きます。

オファーは9種類あり、作家が「受けられる」と選んだものだけが届きます。作品の購入のほかにも、売り先の入口が用意されています。

サイトは5か国語で表示できます。日本で制作を続けながら、海外の人にも作品を見てもらえます(解決策2 外国語表示)。

作品を部屋やお店に飾った姿を見せる仕組みもあります(解決策1 飾ってみて)。

ただし、場所があるだけでは、作品は届きません。どの作品を、誰に見てほしいのか。そこは、作家自身が本気で考えるところです。その考えを形にする部分を、7ARTSが一緒に支えます。

場所は一緒につくる。
届けたい気持ちは、あなたから。

今日、ひとつだけやってみてください

今日、作家がやることの流れの表。売上の出どころを書き出す、1か所に偏っていないか見る、売り先を1つ足すならどこか決める
今日、作家がやること

紙を1枚用意して、この1年の売上がどこから来たかを書き出してみてください。

ギャラリー、展示、知り合い、SNS。行き先ごとに、ざっくりでかまいません。

もし半分以上が1か所に偏っていたら、そこが不安の正体です。

次に、売り先を1つ足すとしたら、どこにするかを決めてみてください。売り先が2つになった日から、不安は少しずつ小さくなります。

お金や税金の具体的な計画は、税理士など専門家に相談してください。ここで考えたいのは、作品の行き先を増やすことです。

作品と新しい人が出会う場所を、一緒につくりませんか。7ARTSに作家として登録する

出典

  • 日本のアート市場:文化庁「The Japanese Art Market 2024」(Arts Economics・Clare McAndrew)
  • 作家の数:文化庁資料(2020年)/画廊・ギャラリーの数:7ARTS調べ(2026年10月・公開情報から集計。古美術・骨董店、貸しギャラリー、アートレンタルなどは含まない)
  • 買った理由:「日本のアート産業に関する市場調査2021」一般社団法人アート東京・一般社団法人芸術と創造(文化庁委託事業)
  • 作品を買ったことがある人の割合(約16%):「日本のアート産業に関する市場調査2018」一般社団法人アート東京・一般社団法人芸術と創造(2019年3月4日発表・約2万人を対象)